コラム「人生打ち上げかけつけ」

松原裕 コラム

2005年より13年間1ヶ月も休まずに連載を続けている太陽と虎代表 松原裕のマンスリーコラム。

人生とは打ち上げのように激しく乱れて華やかに散る。
ならばかけつけイッキで酔ったもの勝ち。

そんな日々起こる不可思議で愉快な体験を綴る太陽と虎マンスリーコラムスケジュール誌に連載中のかけつけコラムWEB版。

笑いをアテに何杯でもイッキしてください。

※本コラムは本人が「がん」を理由に2016年10月を持って休載しておりますが、「絶対休む機会を探していて「がん」になって「よっしゃ!これや!」と思ったに違いない。」「連載が始まって13年間140話以上書き続けてネタ切れになったんじゃないですかね?」関係者談。
「そ、そんなわけないやん!ネタが溢れて溺れそうやわ!ただ体調が…。」本人談。

という事で2016年10月より、体調が良い時にWEB版のみ更新する不定期連載になりましたので、テレビの裏面を掃除するぐらいの頻度でこのページも覗いてくださいね。

142杯目「アル中じゃ無いというプライド」

今から約12年前の2006年ごろ。松原は酒気帯び運転で捕まり運転免許を失った。言い訳にはなるがその頃は飲酒運転がそこまで悪いとされていない時代だった。

そして運転免許が無くなるが、意外と困らないことに気がつく。なんなら車の維持費を考えると経済的にもプラスになった。

なのでもう車には二度と乗ることは無いと思い、今まで残りの人生を費やしてきた。

 

 

しかしここ最近病院への通院が増え、諸々の理由で運転免許が必要になり、遂に再取得への道を進むことにしたのだ。

しかし飲酒運転という重罪を起こした者に与えられた過酷な試練がいくつもある。

その1つである『取消処分者講習』と言う飲酒運転を犯した交通犯罪者の為の講習。

2日間のこのミッションを経て、初めて一般の身分へと昇格出来るのだ。

松原ももちろん例外なくその講習へと向かうことになる。

人里離れた辺鄙な場所に聳える教習所。そこには松原含めて6名の交通犯罪者がいた。そしてそこにいる5名はどうも様子がおかしい。推定50〜60歳ぐらいのおじさんたちで見た目は歯が無い人や、常に手が震えている人など、これは主観もあるが、みなさん間違いなくアル中なご様子である。

 

それもそうである。

 

松原が言えた義理では無いが、今のこの時代に飲酒運転をするという事は相当な状況に立たされないとあり得ないし、周囲も絶対に止めるはず。

その目をすり抜けて飲酒するというのは、そういう事なのである。

そして席に着くなり、朝からいきなり整列させられて順々に変な機械に息を吹きかけて飲酒チェックが始まる。

 

いやいやっw、朝から誰も飲んでこーへんやろ!

 

腹の底から教官に突っ込みそうになる。

 

 

 

しかしまさかの1名はアルコール反応で脱落。

 

 

 

 

まじで言ってるんの?
耳を疑う事実。こ、こいつ何しに来てんねーん!
なんなん。ここ、バトルロワイヤルなん?ばり怖い。。

 

いきなるとんでも事件を経て、始まった講習。
最初の作業はA4の紙に余す事なく中が空白の四角が書かれていて、制限時間内にこの四角の中に三角を書くと言うもの。

 

…さすがにプライドがズタズタになる。

 

 

そんな恐ろしい講習が朝9時から18時まで行われる。

そして帰る時に日記みたいなのが渡されて今から一か月間、1日の酒の飲む量を決めて毎日自分が飲んだお酒の量を記入してくるように指示される。しかも自分で決めた量を超えた時はこれから飲まない為にはどうしたらいいかみたいな事も書かなくてはいけない。

一か月後、2回目の講習の日がやってくる。

ちょっとだけあの人たちに会うのが楽しみで教室に入ると何か教室が寂しい。

 

 

 

それもそうである。

3人しか居ないのだ!

 

 

 

チャイムがなり、教官が入ってきて「2名は消息不明なのでこの4名で講習を始める」という欠席理由不明の恐ろしい説明からサラっと講習が始まる。

 

 

一体終わるまでに何名が脱落するのか。
まじでバトルロワイヤル。

 

そして日記の発表が始まり、全員が目標の飲酒量を超えたという結果。
しかも松原を笑かしにかかっているのか、飲まない為にどうするかの発表では「お酒を見ない」「お金を持って外に出ない」などとんでもない改善策が飛び交う。

 

もうここに居る事が怖くなってくる。

だが耐えるしか無い。

 

 

心の救いはこいつらと違って、自分だけはアル中では無いという事実だけ。これが壊れたらもう自分が自分で居られなくなる。

 

そして遂に最後の時間。

 

配られた用紙を見ると該当する項目にチェックをするだけの簡単なアンケート。

全員が終えた事を確認して、教官からの説明が始まる。

 

「こちらはアルコール中毒を調べるアンケートです。チェックの入った数が点数となるので発表してください。」

「17点です。」

「9点でした!」

「5点やわ。」

次々と発表される点数を聞いて教官は笑顔で答える。

 

「このポイントは20点を超えるとアル中の恐れがあるからね。○○さんの17点は危険ですよ〜」

 

 

一同笑いに包まれる。

 

「で、松原さんは何点でした?」

 

「僕は...な、7点です。」

 

 

笑顔を引きつらせながら33点の答案をそっと裏向けて答えた。

141杯目 「飛び込み練習」

え〜、今からワタシはウソをつきますが、

日本人の約70%が車の運転免許を失効させているそうですね。

そんな運転免許証ですが松原も漏れなく約7年前に免許証をお国に取り上げられてしまったひとりな訳です。
そこから7年、特に車を必要だと思う事も無く平和に暮らして来ましたが急に「車、乗りてぇ〜」の衝動に襲われてしまったのです。
居ても立ってもおれずに翌日の朝、免許証を取り返しに行くことにし、運転免許試験場へ所謂“飛び込み”に挑戦する事にしたのだ!

まずは筆記試験に見事一発合格。
そして次は実技(実車)に挑戦。

しかし世間では閻魔の様に厳しい形相の教官が姑以上に細かいチェックをして中々通らないと噂の“飛び込み”。
何か良い対策が無いかとネットで検索すると神戸に“飛び込み免許専門○○運転教習所”というワードがヒットした!

なにそれ!?

驚いている感情と同時に指先は既にそのサイトをクリック。
読んで字の如くまさしく飛び込みに向かう松原の為の教習所の様だ。
急いで電話してみると何故か携帯電話に転送される。

怪しさを感じながら応答を待っているとめっちゃおっさんが電話に出た!

雑音がスゴいので絶対外で電話に出ている。

「あの〜、飛び込みで免許を取るんですが教習して頂けますか?」

不安いっぱいで問い合わせすると

「あー、いま忙しいから後でショートメールで空いてる日を送るわ〜。」

衝撃の口語調で電話を切られる。

そこから待つ事、数時間。
日程が絵文字混じりのショートメールで届く。
そして勘のいい松原は察知する。

「ここバリ怪しい。」

しかしひどい人は10回挑戦しても落ちると言われる“飛び込み”。
もう藁をもすがる気持ちで予約を行い、その日を迎える事になる。

予約完了と共に届いた「じゃー三ノ宮駅のロータリーで○○の車で迎えに行くから」というメール。
バリバリ怖い。

マジで大丈夫かと不安でいっぱいだが、メールで届いた通りの車が1台ハザードランプを点滅させて待機している。
恐る恐る近づくと、40代のおじさんが「どうも〜」的な軽い挨拶と共に助手席へと手招いてくれる。

ごっつ怖いけどとりあえず乗車する。

「近くの練習場に行ってそこで教習するわ」

目的地を聞いてもまだ怖い!
しかし練習所に向かう道中で車間距離だと接触事故寸前ぐらいで人間の距離感を縮めて話かけてくる。
不覚にもすっかり仲良くなってしまう。

しかしこんな商売があるとは衝撃である。
需要はかなりあるみたいで予約も中々取れないぐらいパンパン。

そして教習も確かに参考になる運転方法を教えてくれて満足出来る1時間となる。
でもなんか言葉に出来ないけどずっと怪しい。
そして教習を終え、お礼を告げると。すぐさま「7000円です」と支払いの請求をされる。

ま、おもしろかったしと納得。

普通に支払おうとするとこっちの顔をじっと見ながら、

「高い?」教官のおっさんsay

…え?

意味がわからず黙っていると
「いや、だから7000円は高いと思った?」

会計でこんな質問されたのは初めてである。
脳内にある会話応答対応室は大パニック。

とりあえず「いや、高くないかと。。」と返事をすると

「そっか。よかった。」
教官のおっさんsay

いや、なにこれ?
高いって言ったらどうなったん?

どういうこと…。

謎な質問に困惑しつつも、支払いを終えると家まで送るとのこと。
家までは怖いので近くまで送ってもらおうと道を説明していると、右折禁止の道を左折してUターンをして結果右折をする裏技をくりだした教官のおっさん。

ニヤリとこっちを見て
「こんなことしたら捕まるかな〜?どう思う?」

いやいや、しらーん!

ってかそれを教えてくれるのがあんたの仕事ちゃうんかーい!
そしてさっきから「どう思う?」攻撃やめてくれる?

こっちは「飛び込み」の練習に来てるんであって、
「ツッコミ」の練習はせんでいいか!

以上、7000円を払って“飛び込み”と“ツッコミ”の練習をしてきた現場の松原でした!!!

追伸:
無事運転免許合格しました!

140杯目「COMIN’KOBEはご迷惑?」

唐突ですが、皆様はCOMIN'KOBE(通称カミコベ)というイベントはご存知でしょうか?
毎年ゴールデンウィーク(以下GW)に開催している無料のチャリティーイベントで私・松原が実行委員長として2005年から開催をしております。

そんなCOMIN’KOBEの会場の隣に神戸で最も大きな病院があって、なんと松原はカミコベ開催の1ヶ月前にその病院に3週間ほど入院をしていたのです。

カミコベの会場から目と鼻の先の病院。
何か勝手に運命を感じつつ、人生初めての入院生活を過ごす。

手術の傷が痛過ぎて何も出来ず、でも暇な時間だけが流れる。
もう退屈過ぎて忙しい。

そんな暇が売れる程ある入院生活だが、COMIN'KOBEをやっていて良かったと思える事があったのだ!

それは、なんと!

病院内でCOMIN'KOBEのファンの方々が居て、松原の事を知っていてくれてとても親切にしてくれたのだ!
これは超嬉しい!!!!
病院内の喫茶店の店員さん、病院の職員さん、挙げ句の果てには医師の方まで!
そして皆さん、毎日の様に松原の病室まで面会に来てくれるのだ!

親切にしてくれて、特別な情報やこっそり色々な事を教えてくれて人の優しさに触れ、まるで“この病院は松原の為にある”と勘違いしそうになる。

後は看護婦さんさえ味方につけばこの病院は制覇出来る!
制覇したらこの病院にもステージを作って、会場の1つにしたろかな。

そんな野望を抱き、調子に乗っていた矢先。
逆にCOMIN'KOBEをやっていて後悔する出来事が起きるとはその時の松原は思いもしなかった。

 

***

毎朝恒例の血圧&体温検査と採血の時間。
今日は松原の病室に初めての看護婦さんがやって来た。
慣れた手つきで検査をしながら注射嫌いの松原に気さくに喋りかけてくれる。

「もうすぐGWですね~。何かご予定はあるんですか?」看護婦say。
「いや、大事な仕事(カミコベ)があって僕はこの十何年、休みは無いんです。」
「うわ~大変ですね。私もそうなんです。」

「え~、GWは病院お休みじゃないんですか?」

「実はGWに大きなイベントがこの病院の隣であるんです。」

 

お、これはCOMIN’KOBEの事じゃないのか?!
キタキタ!!!!!!!

 

「すっごく大きなイベントで …フェスって言うんですか? 私は音楽に疎くてわからないんですが、なんか有名なアーティストがいっぱい出るみたいなんです。」
ほら、来た。間違いない!これで遂に看護婦さんまで手に入れれる。
さぁ、気づきなさい。
今、アナタの目の前の人は主催者なんだよ~!
ふふふ。どのタイミングで打ち明かして、驚かせてやろうかとワクワクする。
「それでね、聞いてくださいよー!そのイベントのお客さんが救急で沢山来て大変なんですよー!なので大忙しで休み所じゃないんです。ほんと迷惑してるんですよ〜笑」

な、なにっ!?その展開!?
まずい!イベントの印象が超悪い!何とかフォローをしなければ!
急いで脳内会議を行う。

「で、でも沢山、人が来て盛り上がるから街にとっては、いい事ですよね~?」
どうだ!看護婦!
答えてみろ!

「う~ん、そうなんですが…電車も満員で混みまくってて患者さんも職員も迷惑だな~って話してるんですよ~。」

ちーーーん!終了。

もうお手上げだ。
ここは松原が主催者という事を隠してやりすごすしかない。

もし松原がその迷惑なイベントの主催者だとバレたら、ただでさえイベントの印象が悪いのに加え、イベントの悪口を言ったこの看護婦さんと松原の間に“きまずさ”しか残らない。
またこの看護婦さんが担当になって採血してもらう間の数分間をどうしのげと言うのだ!それは避けなければいけない。
…大丈夫。落ち着け、松原。きっとバレない。

俺を誰だと思っている。
いくつもの修羅場はくぐって来た。
これぐらい訳も無い。

という事で話題をさり気なく変えて、この場を納める事に成功。
穏やかな入院生活を送るためにこの看護婦には隠し通す必要がある。

あと数日の入院なので楽勝だ。

松原はどんな困難も乗り越えて来たのだ!
そしてその夜。

カミコベファンの医師の方が病室に面会に来てくれた。

「調子はどうですか~?」医師say。

暇すぎる松原にとって大変有り難い限り。
いつも通りその医師と音楽の話など楽しく雑談をしていると、、、

 

コンコン!部屋をノックする音。
「回診に来ました〜」

 

明るい声と共に看護婦さんが松原の病室に入って来たら…

 

 

 

な、なんと!!!!!!!
今朝の看護婦さんでは無いか!

まずい、この医師が余計な事を言わなければいいのだが…。

そんな不安をよそに看護婦さんは松原の病室に主治医以外の医師がいる事に驚き、
「あれ?○○先生、どうされたんですか?」say。

「あ、松原さんは僕の大好きな音楽イベントの実行委員長で…」
ちょ、ちょっとぉぉ!!!!!!

止めてーーー!言わないでーーーーー!
時すでに遅し。そこからCOMIN'KOBEを熱心に説明する医師。
それがあの迷惑なイベントだと気がつかないフリをしながら松原の腕から優しく採血をする看護婦。
絶対に気がついている。

「へ〜、すごいですね〜」

当たり障りの無い相槌で、その迷惑なイベントの主催者の血圧を測る看護婦。

それぞれの想いが交差する3人の病室。
COMIN'KOBEをやっていて初めて後悔した夜、
穏やかな入院生活は終わり、松原の血圧だけが高く上昇する。

139杯目 「健康へのアドバイス」

はい、どうも~Yahoo!ニュースに載る男・松原の大人気コラムが今回も痛快に始まりました~!

という事でご存じの方がもう多いかもしれませんが松原は先日2016年3月に腎臓ガンである事が発覚した訳です。(知らない人はネットで検索だ!)

そして医者に余命2年みたいな事を言われて「マジか~」と思っている最中、落ち込んでてもしょうがないので色んな人に相談をしていると神戸のとある大きな病院で急遽セカンドピニオンをしてもらえる事になったのだ!
普通に申し込んでも何か月も先になる所なので「絶対行きます!」と答えてから手帳を見ると、まさか!その診察の日のその時間にラジオ収録が入っていたのだ!
さすがに命がけの事態なので収録を変更してもらおうと連絡をしてみるがスタジオのスケジュールなどの都合で日程の変更は出来ないが、収録時間を午前中に変更なら可能という回答が!

慌てて病院に連絡すると診察を14時なら変更可能という事で、ラジオ収録をした後で診察が出来る事になる!
綱渡りのスケジュール調整が上手くいったので安堵し、当日を迎える。

収録&診察当日、行きの電車で番組の台本が届いていた事を思い出し、いまさら目を通す事にする。
そしてその収録内容に驚愕する事になる。

な、なんと!!!

 

某健康食品スポンサーの「健康についてトークする」番組では無いか!?
ちょっと、あかんって!わたしめっちゃ病気やのに。。。

ええん?そう思った時にはもうラジオ局へ到着してしまう。
今更、「ボク、超ガンなんです。」と告白する事も出来ず、打ち合わせが始まる。
松原が【第1位】とは解ってはいたが改めて番組内容を聞けば聞く程、“この番組に相応しくないゲスト”【第2位】をどんどん引き離して、もう誰も追いつけない程の差が開いていく。
そんな圧勝のレースなんて誰にも気づかれないまま遂に“試練”と思うしか無い収録が始まる。

とても爽やかなDJさんのエスコートで「松原さんの健康の秘訣は?」「健康の為に気にしてる食事は?」という質問が鋭い刃で突き刺さる。が、内容的には笑顔で答えるしかない松原。
「やっぱり好きな事を一生懸命する事ですかね~。」微笑みながら答えるその男は1週間前に“余命2年”宣告をされた男なのである。“え?これドッキリ?”と思うぐらい“健康”について語らせ続けられる。
そして挙句の果てにこの後、CTスキャンが待っているので絶食中の松原に対して、番組が考案した松原の為の健康サラダを食べて欲しいという超難関が現れたのだ!

「いやいや、CTスキャンしたらサラダ映るって!」

なんて言えないし、どう断ったらいいか…。

咄嗟に浮かんだ言い訳は「ボク、ベジタリアンなので…」

、、、ってあかん、あかん!
それやったら全然サラダ食べれてしまうやん。

もう断る言い訳が浮かばないまま番組は進んでしまい結局一口だけ食べる事になってしまう。

この後、医者に何て説明すればいいのか!?
1時間近くの収録を終え、ようやく局を後にする。

完全に誰も悪くないけど、なにこの気持ち。

中学生になったのに子供料金で電車の乗った時に似たこの何とも言えない罪悪感。

「それでは最後にみなさんへ健康のアドバイスをどうぞ!」

番組の最後の締めで聞かれたDJさんの質問が脳内で再び蘇る…。
そして無事手術を終えた今、facebookやtwitterで松原の元に色んな方から逆に“健康のアドバイス”が沢山届いている…。

138杯目 「見た事無い雑誌のインタビュー」

最近の悩みと言えば、どんなに面白い事があってもネットの普及によってこのコラムで書けない事が続出している事である。
オモシロくお話を描く為には誰かを不快な思いにさせる表現になる可能性がある訳です。それでもしその当人がこのコラムを見る事になって傷ついたり怒ったりする可能性があると思うと書きたくても書けない葛藤に襲われる。
そんなネットの普及により手に入れた便利の代償に住みにくい世の中となった昨今、今回のお話は【見たことの無い雑誌】のインタビューを受けた時の事です。

全く聞いた事の無い雑誌だったが30 分程度でいいと言う事なのと電話で話した担当者が好感の持てる青年だったので快く引き受ける事にした。

取材日当日、約束の時間丁度にインタビュアーと担当者の2名が事務所へやってきた。取材内容は松原の仕事について。簡単な説明を受けてから、取材が始まるという瞬間!インタビュアーがあたふたしている。

担当者が小声で「どうしたん?始めるで?」と少し苛立ってインタビュアーに迫った。
「いや、違うんです。テープレコーダーの容量がいっぱいで…」インタビュアーsay。
「だから会社出る時に全部消してって言ったたん。」
「いや、消したはずなんです。。でも何か残ってて…」
「いや〜松原さん、すみません。ちょっとお待ちくださいね。」

担当者が笑顔で松原に謝罪する。
別にこれぐらいで怒る程、器は小さくない。

「全然大丈夫ですよ〜!」

松原は大人の笑顔で優しく答える。

そこからは彼らのやりとりが続く。

「あれ?削除してるのにデータが消えないんですよ…」
「なんでなん!?そんな訳ないでしょ。貸して!」

担当者はレコーダーを奪って液晶画面を操作するが、
「あれ?ほんまや。消えない…なんで。」
「でしょ?消えないんですよ。」
「だったらもう1個のレコーダーでやろう。持って来てるやんな?」
「はい。そうしましょうか。」

そして別のレコーダーを鞄から取り出すして電源を入れるインタビュアー。
「あれ?電源が入らない。。。」
「もう!なんで?貸して!」
担当者もさっきまでの笑顔は完全に消えてイライラが顔からこぼれ出る。

「ちょっと!これ電池が無いんじゃない?」
「いや、電池変えてきましたよ!」
「電源が入らないって事は電池しか原因ないやんけ!」
「だから会社出る時に2つとも電池を変えたのでそんな事は無いです!」

…もう完全に松原の存在を忘れ、喧嘩腰のやりとりである。
その場にいる松原は気まずさに包まれる。

「ちょっとさっきのレコーダー貸して!この電池を抜いて使ってみて!」
「いや、だからそんな訳ないですって!」

言い返すインタビュアーを無視して担当者が電池を入れ替える。

するとレコーダーの電源が見事にON になる。

「ほら!入ったやんけ!全然さっきから俺が言った事、出来てないやん!」
「いや、僕は絶対データ削除しましたし、電池を変えましたって!」
「実際に消えてないし、電池が切れてるやんけ!言い訳するな!」

担当者の怒りはピークを迎え、そして「松原さん、すみません。それではインタビューを始めさせて頂きますね。」と引きつったスマイルで話しかけてくる。

いやいや、この空気でインタビュー出来るか〜!ほんでインタビュアーも完全にすねてるし、変な空気出てるやん!マジで何なん、この取材!挙句の果てに「今ので10 分ぐらい時間が経ってしまったので20 分で取材を終わらせますのでご安心ください!」いやいや、やるならちゃんとしてー!ほんでインタビュアーも全然テンションOFF やから電池と一緒にこいつも変えてください!!(>_<)

 

137杯目 「なぜそばにいるの?」

先日、ひさひざの金沢出張があり、仕事を終えて夜の街へ繰り出した時の事です。

ええ時間まで飲み明かし、ホテルに帰る前に温かいお蕎麦が食べたくなる年頃。

一緒に飲んでた金沢住人に「この辺でお蕎麦たべれる所ないの?」と尋ねると

「いや~、この時間はもう無いな~」say。

 

しかし諦められず徘徊をしていると「うどん・そば」の看板を発見!

「あるじゃん!」松原は嬉しくてその店に駆け寄る。

すると金沢人が「いや、松原さん、ここクッソまずいっす!やめときましょう!」say。

確かに蕎麦屋とは思えない古い喫茶店みたいな外観で窓から店内を覗くと長渕剛先生のポスターが貼られていて何とも怪しい空気である。

しかしパラボラアンテナ並に指向性の強い松原のセンサーが面白い匂いをキャッチする。

 

「何故ここで蕎麦を食べない?」

 

逆説で金沢人を言い負かし、未開の店内へと突撃する。

 

すると如何にも頑固そうな大将と若い見習いの青年の2人がカウンターから我々を凝視してから、無言で作業の続きに戻った。

日本ではお店に入るとまず「いらっしゃい」じゃなかったっけ?

この違和感に一瞬立ち尽くしてしまう。

しかし松原がたまたま聞こえなかっただけかと思い、とりあえずカウンターの席に座る。

そして次の違和感はBGM。

 

多少は予想していたが"長渕剛先生オンリー”のBGMである。

酔っぱらっていた松原はどんどん面白くなり大将に絡んでいく。

 

「長渕さん好きなんすか?」しかし完全に無視である。聞こえていないのかと思い次は「おすすめのそばって何ですか~」という質問も、、、、、、…無視である。

さすがに苛立ってきたが、もしかしたら歴史記念館とかにあるよく動く人形の可能性もある。

もう一度「おすすめって何ですか?」と強く質問をすると「全部だよ」とキレた感じで答えてきた。

 

完全に宣戦布告である。

 

悪乗りが始まった松原は「じゃーどれが人気ですか?」と応戦。

するとしぶしぶ大将から「天ぷらそば」と単語の回答。接客業で体言止めとは信じ難い。

 

「そうなんすね!じゃー“きざみそば”で」

 

会心のボケも当然、無視される。

 

 

すると大将は矛先を変えてアルバイトの青年に「おまえコラ!水、出さんかい!何考えとんじゃ!」とキレだした!

もの凄い勢いでキレてるの絶対こっちへの威圧だと察知。ここでビビったら松原の男が廃る。

「長渕のどこが好きなんすか?」「結婚してるんすか?」「旨いっす!めっちゃ旨い!この水」とかガンガン大将をイジりまくるがこっちには反応せず、青年に対して、どんどん怒号を飛ばし始める。

段々松原のせいで当たられている青年が可愛そうになる。きっと一人前のそば職人を目指して大将の元で厳しい修行をしているのであろう。

だからこんなにキレられても言い返さずに耐えているのだ。ずっと些細な事で大将に怒鳴られている青年に感動さえ覚え始めた。よくここまで耐えれるものだ。せめてもの罪滅ぼしで、ここは青年のフォローをしようと話しかける。

 

「大変だね、こんなに怒られて。やっぱり大将の味に惹かれてここで修業してるんだよね?」

 

この質問で「はい!大将の味は最高です。」と答えると大将も絶対悪い気がしないはず!

 

最高のセンタリングを青年にあげた松原。後は簡単に決まるシュートを待つのみ。絶好のパスを受け取った青年は松原の方を向いて、ちょっと驚きながらこう発した。

 

 

「え?いや、全然違います。普通にバイトしてるだけっす。」

 

 

そこから松原がそばを食べ終わるまで大将の怒号は加速し、青年は耐え…いや、無視を続ける。まじ何なのこの2人。

んで、そばマズっ。

136杯目 「日本一円」

人間は言葉で思考する限り言葉で理解するしかない。
そして単位で認識する限り、単位で数えるしかない。by松原

 

という事で何を言ってるか解らない冒頭から始まってしまったこのコラムですが今回はそんな単位に対する衝撃なお話。

昨年末、超慌ただしい移動があり、綱渡りの新幹線移動。
東京駅に到着したら後10分で最終列車が発車するというスリリングな状態。これを逃すと神戸に帰れない。
急いでホームに向かうが、松原は数時間前からある事に気付いていた。

 

そう、松原は今、超絶に喉が渇いてお腹がすいているのだ。

 

残された10分という僅かな時間、車内販売という数少ない商品の中からしょうがなく選ぶのか、膨大と種類のあるコンビニから今の自分にピッタリの相手を探すのか?

 

 

これはもう結婚と同じである。

 

 

バツイチの松原は次の失敗は許されない。
誰もが松原の決断に息を飲む。

終電に乗り遅れるリスクはホテルも無い年末の東京では自殺行為。
それは解っているが松原はもうすでにコンビニに足を向けていた。

 

過去こんな無謀な選択をした者が居ただろうか。

 

しかし松原の目にはもう迷いはない。
早々にコンビニに到着し、お互い惹きあったサンドイッチとカフェラテ、そしてレジ横の母のぬくもりに似た温かなカラアゲを目指し、レジに並ぶ。

 

 

しかし障害の無い人生は味の無いスパゲティーと一緒。

さすが年末の東京駅は人で溢れかえり、過去経験した事の無いレジ列を作り出していた。
松原に与えられた時間はもう7分と迫っていたがレジ店員の動きと列に並ぶ人の商品数を瞬時に割り出し、3分もあれば松原の会計に辿り着くと判断。

これは限界まで追い詰められた人間だからこそ出来る人智を超えた潜在能力。
そしてレジの列は遂に最後の1人なる。

 

様子を伺うと中国語で子どもに話しかけているお父さんが1つの菓子パンを持っているだけ。きっと子供にねだられ、パンを買う中国人旅行客であろう。
このパン1つであればこのレジのバイトぐらいの力量でも30秒もかからず倒せるはず。
松原は勝利を確信し、この後に待つ3時間の列車の旅に輝く未来を期待した。

 

 

その瞬間!
目を疑う光景が飛び込んで来た!

 

 

 

 

なんと中国人が左手に持っていたポーチを空けてレジの小銭受けに向けてひっくり返した。

松原は言葉を失った…。

 

そのポーチから大量の「1円玉」が溢れだしたのだ!

 

 

「ま、…まさかこいつ1円でこの120円のパンを支払うのか…」

悪い予想程的中する。
レジ店員が困惑した表情で必死で1円を数えだしたのだ!

 

 

待て待て~!何考えてんねん!アホちゃう!なんで1円やねん!
で、なんでそんなに1円持ってるねん!

 

 

 

怒りと驚きが入り乱れ、もう冷静な判断が出来なくなる。

やばい!これはとんだ誤算!
このままだと2~3分はかかる!

いっきに形勢逆転された松原は焦り狂う…。

 

 

 

1円を10枚の山にして店員は自分の限界に挑戦をしてる。しかし1円を120枚数えるのはそんな簡単な事では無い。残された時間は後5分。
ここからホームまでの時間を考えると後2分。
そしてようやく12個の山が完成した。

 

 

何とか間に合った!さぁ、早くここから立ち去れ親子たち!
しかし人生とはそんなに甘くない。

 

なんと今度は残った1円を中国人が数えながらポーチにしまっているのだ!

 

 

ゴラァ、ボケ!早くどかんかい!
日本の通貨を何やと思ってるねん!
こんな1円だけで買い物するヤツなんて日本一円、探してもおらへんわ~!

135杯目 「矛盾したすべらない話」

「死んだらぶっ殺す!」
「座って立ち読み禁止」
「健康の為なら死ねる!」
「男に二言は無い。もう一度言う。男に二言は無い。」
「韓国料理 日本」

 

などこういった矛盾した言葉はいくらでもある。
そして脳内で「どっちやねーん!」と突っ込む事で笑いが生まれる。
そう、笑いと言えば先日、神戸のとある野外広場を活用したイベントのお話を頂いた。

 

あまり知られていない広場をPRする企画を考えて欲しいと言う事で、ライブを単純にするよりもトークが面白いバンドマンを集めて「すべらない話」をする事になった。
もちろんMr.すべらない話・ユタカ マツバラも参戦し、全12名のミュージシャンが集結した。

 

内容は至ってシンプル。

サイコロを振って自分の名前が出たら「すべらない話」をするだけ。

どこかのテレビ番組のアレである。
そして全員がとっておきのすべらない話をそれぞれ持ち寄って迎えた当日。

晴天に恵まれ野外ステージに沢山のお客様が集っていた。

しかし天候とは違って出演者の顔色は曇っている。それは出演OKしたものの、やっぱり直前になると緊張が襲ってくるのである。いつもならライブ中にある曲間のMCでスベっても「曲」に入って空気を変えれた訳だが今回はそれが出来ない。これは冷静に考えてみると演者にとって相当の恐怖である。
中には中止させる為に「雨乞いをした」と言うチキン野郎もいるぐらいである。

 

でも気持ちも解らないでもない。

 

 

改めてお笑い芸人の凄さを感じざる得ない。
しかし時間というのはこちらの都合など関係なく迫り来る訳で全2時間のすべらない話の火蓋は定刻通りに切られる。

 

しかしさすがは腕に覚えのあるミュージシャンたち!軽く躓く人はいつつも、全く誰もスベらずに笑いがフィーバー中のパチンコ玉の様にどんどん飛び出し続けて予定より15分も押してエンディングトークへと突入する。

施設の人も常に笑っていて企画者として松原は成功を噛み締めていた。
しかし少しだけ消化不良な事があった。

 

 

それは何と一回もサイコロで松原の目が出た事が無いのだ!

そんな凄い確率ある??

 

 

 

人生で一回も二千円札を持った事が無いまま死ぬぐらいの確率である。
でもちょっとホっとしている自分もいる事は確か。
司会も務めていたので喋った量は充分だし、時間も押してしまったので、このままイベントを締めようとした瞬間!

 

 

どの角度から観察しても悪意に染まった一言が出演者から飛び出る。

 

 

 

 

「え!松原、一回も喋ってないやん!」(会場が騒つく)
「最後に1つ喋って終わろうやー!さぞかし面白いんやろーなー!みんないいよね?」(会場から拍手が起こる)

 

 

 

もし松原の目からビームが出るのなら即こいつを八つ裂きにしている。
最悪のフリである。
しかしもう逃げれない状況となり、ここはめっちゃ短いすべらない話をバチコーンと決めたら超カッコいいと長年の経験から判断する。
施設の方も時計を見て時間を気にしているし、絶対その方がいい!
慌てて脳内で用意してたすべらない話を短くカットしオチだけを整理して組み立てる。

 

 

すべらない話とは構成が大事である。フリがどう活きてるか、間が効果的に使えるかなど松原クラスになると緻密な計算の元で組み立てられている。
しかしオチがしっかりしていれば多少組み立てを変えても大丈夫なはず。逆にどれだけ短くオチに辿り着くかもとても面白さに影響してくる。

 

 

とにかく松原は瞬時にすべらない話を構成して、満を辞して世に放った!

 

 

 

 

「いやー、こないだトイレに行ったら隣で酔っ払いのおっさんが凄い焦ってたんですよ。あまり気にせず横の便器で小便をしてたら隣のおっさんがズボンのチャックに両手を突っ込んでこう言ってたんです。

“あれ?ねえぞ、どこ行った!あれ~?”

…って無い事ないやろ!ちゃんと探せ!」

 

 

 

 

 

 

初めてこの会場で“風の音”が聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分でも自信のあるスベらない話。酔っ払ったおっさんがトイレをしようとしてナニを出そうとしたら酔っ払ってるのか、ナニが見つからず「どこに行った?」とひとりごとを言うというオチ。

 

 

鳴り止まない笑い声を想像して居たが…
なんと!!!!!!!!
信じられぐらいスベったのだ!

 

 

体の弱い人なら絶対ショック死するぐらいのスベりよう。

 

 

 

自己分析をすると時間が無い事などに焦りまくり、言葉も早口で聞き取り難く、元々2分ぐらいある話を10秒に縮め、組み立てや流れが崩れてスベったのだと推測される。

 

 

しかし会場の無反応さにスベった事が一瞬分からず、遅れて理解した時にはもうどれぐらいの時間が過ぎたか解らない。

 

慌てて、「ではみなさんまたの機会に!」と締めてBGMで逃げる。

 

 

 

立ち直れないぐらいの衝撃に出演者や施設の方々に合わす顔が無い…。
終わった…。

 

しかし、全て失った訳では無い。
これで1つ生まれたのだ。

 

 

 

 

 

「すべらない話でスベったと言うすべらない話」が。

134杯目 「立ち読みもほどほどに。」

こんにちは。松原の連載コラムへようこそ。

今日のコラムは先日、出張で向かった酸素の中にとんこつスープが混じっているラーメンの街・博多での出来事です。

 

仕事が早めに終わりそうなので20時からスタッフのみんなと飲みにいく事になる。

20時ギリギリに仕事が終わったのでホテルへ戻らずノートパソコンを持ったままみんなと合流し、日頃の疲れをねぎらうべく楽しい宴が始まる。1軒目、2軒目そして3軒目まで続く深い飲み会。

28時ごろにそろそろ体力の限界となりようやく解散。

最後にコンビニに寄り、片手にビール、もう片手にアイスクリームを持って気持ちよくホテルへ向かう道中で、ある事に気づく。

 

 

それは両手が自由に使えるという違和感だ。

 

 

 

1軒目に向かう道中は片手しか使えなかったはず…

「あああ!!!ノートPCが無い…」

アイス型のノートPCでは無い限り、持っていたPCはどこにも無い!

 

慌てて記憶を遡るが、鉛筆で書かれた記憶のページはアルコールという消しゴムでキレイに消されて全然読めない。

とにかく今日立ち寄った3軒のどこかである可能性が高い!

が、もう深夜5時。

 

開いている訳が無い。

 

せっかく楽しい夜が絶望に変わる。

 

諦めてホテルに戻り、明日に託す。心配と不安で眠れぬ夜を乗り越えて朝、この3店舗の情報を集める。

すると1&3店舗目はランチをやっている!

早速電話してみるが忘れ物は無いとの事。

ここで遂に2軒目の店に絞られる。

食べログでは17時オープンと記載されている。可能性は低いと思いつつ朝の10時から30分置きに電話をするが全く出る気配もない。

念のため店の前まで行ってみるがシャッターは閉まったまま。恐らく15時ぐらいには仕込みもあるし誰か来るはず。

と仕事を抜けて店前でスタンバイする。

しかし15時になっても誰も来ない。

暇すぎるので様々なサイトでこの店を検索する。そして遂に店長のfacebookまで探しあてて、松原は、この店のマニアにまで成長する。

そして個人商店なので結構適当に店を空けたり、閉めたりしている情報も得る。

店長の気分次第。もし今日が気ままに休みだったら…。いや、そんな事は無い!そう信じて待ち続ける。

時刻は16時。

さすがにもう誰か来るだろう!

…しかし全く気配は無い。

 

遂に17時になる。

が、まだシャッターは空かない。

 

18時すぎには仕事に戻らないといけない。

もう時間が無い。

しかしどうする事も出来ない。

明日は朝9時の飛行機で東京に行くので最悪博多の友達にお願いする作戦も考えるが今日仕事で使用しなければいけない。

なんとしても探し出したい。

そして時計は18時を指す。

 

もうダメだ!

諦めた瞬間、店の目の前のローソンによく知った顔が立ち読みをしている。

すぐに思い出せない…。でも脳裏に焼き付いたこの顔…。

 

 

 

 

 

 

 

「て、店長!!!」

 

そうなのだ!

この店の店長が目の前のコンビニで立ち読みをしている!Facebookで散々見まくった顔なので間違いない。飼ってる犬の顔までこっちは把握してある。

慌ててコンビ二に駆け込み、店長に声をかけて事情を説明すると

「あー、昨日パソコン忘れてたね〜。店、今から開けるけん。」

 

よっしゃー!!

ってか何で立ち読みしてんねん!

もっとまろやかな言い方で店長に問うと…

 

「夜はいつも暇やけん立ち読みして、人通りが多くなったら店、開けるんや。」

 

いや、なんちゅー気ままさ!ちゃんと店開けろや!

 

とは言えず、ただただ感謝を伝えて、無事ノートPCを受け取る。

そして無事仕事を終え、せっかくなのでお礼にまたこの店に飲みに行こうと23時にスタッフを連れていくとシャッターが閉まっているでは無いか。

 

いやいや、ほんまちゃんと店開けろよ!何て気ままさや!

 

しょうがないので別の店に移動しようとすると、目の前のローソンのガラス越しに知った顔のおっさんが週刊誌を熱心に立ち読みをしていた…。

133杯目 「スリル」

今回は先日の名古屋出張でのお話し。イベントが終わり楽しく打ち上げを開催!盛り上がってしまい2軒目でもバンバン酒をあおり、ベロベロでホテルに戻る。

やっぱり酒は何を食べるかでは無く、誰と飲むかが一番大事だと再認識。

楽しい宴に気分上々で仲間たちとエレベーターに乗り、各階で別れていく。

松原はみんなの中でたまたま一番上層階の7階。最後ひとりになり、寂しさもあるが良い夜の余韻にひたっていたその瞬間!

 

感覚で言うと“見ていたテレビのコンセントに神様の足がひっかかって抜けてしまい画面がブチっと消えて真っ暗になった”様な現象が目の前に広がり、暗闇から画面がついたらホテルのロビーのソファ―に座っていた。

 

「あれ?」…

 

 

状況が解らず松原は脳内にある記憶の書類棚を大慌てで漁っている。しかし何が起きたか理解出来ず、まずは状況把握をすべきと一度周囲を見渡す。

しかし変わった事は無く、宿泊しているホテルのロビー、カウンターにはホテルマン、ロココ調のテーブルに絵画、コーヒーコーナー、衣服はお気にいりの黒のスキニーに上半身は裸。

 

今の状況を把握するには参考になりそうな情報はまった…ん?

 

 

 

…「は、裸?」

 

 

 

 

うおぉぉ!…

Tシャツは?えええ!?なんで裸なん?!

 

 

 

上半身裸は衝撃なファクターではある事は間違いないが結局、何故ロビーにいるのか解明には繋がらず、余計に謎を増やした。

とにかくこうしててもしょうがないので上半身裸で部屋に戻ってみるが鍵がかかっていて中に入れないでは無いか!

 

「最悪や、まじかー!?」鍵のかかった自分の部屋の前で怒りに任せて叫ぶ。

しかしそんなことでは何も進展しない。しょうがないのでロビーに戻ろうとエレベータに乗り込もうとしたら、なんと開いたエレベーターの扉の向こうには「こんな深夜にどこ行こうとしてんねん!」とつっこまざるえない女性6人組が談笑しているではないか!?

そして彼女達は一瞬だけ悲鳴を上げ、上半身裸で黒スキニーの男に驚きの表情を浮かべる。

 

 

うん。当然の事である。

 

 

だってエレベータの中の鏡に映った松原の恰好はほぼ「江頭2:50」である。

しかしエレベーターに入るしか無いのでゆっくり乗り込むが中は異常な空気である。

 

「どう思われているんだろう」

 

 

なんて事は考えない。

 

 

 

 

だって絶対“変態”だと思っているから。

 

地獄の罰ゲーム的エレベーターがロビーに到着し、女子たちを背中に慌ててフロントマンに駆け寄り、「インキーしたので空けて欲しい」と伝え、事情を理解してくれたフロントマンと一緒に2人きりでまた乗って来たエレベーターに戻り、乗り込む。

 

しかし7階と言う距離は無言だと強烈な長さである。

 

 

頼むから何故、裸なのか理由を聞いてくれぇぇ!!

 

もう何か情けなくて泣きそうになる。そしてようやく到着し、鍵を開けてもらい部屋の中に入ると脱ぎ捨てられたTシャツと空っぽのワインが転がっている。

 

状況から推測するとみんなと別れて部屋に戻った松原はひとりでワインを飲んで、寝ようとTシャツを脱いだけど飲み足りなくてコンビニに行こうとしたけどやっぱ眠くてロビーのソファ―で寝てしまった。

…としか考えられない。じっちゃんの名にかけて。

 

とにかく全く記憶が無いというのが恐ろしい。自分が怖くなりテンパって来たので一旦、落ち着こうと部屋を出て廊下にある自動販売機で水を買い、部屋の前に戻った時に恐ろしい事実に気付く。

 

 

「鍵、部屋の中や…」

 

 

 

時刻はもう朝の5時前。“松原4:50”はまた地獄のエレベータに乗り込んだ…。(BGM♪「スリル/布袋寅泰)