101杯目 「閉店ガラガラ」

先日北海道出張中に雪で滑ってコケた女性に駆け寄り「大丈夫ですか!?」って声をかけたら
「キャー!!触らないで!」って悲鳴をあげられたよ。

世の中は腐ってるね。もう打ち上げで誰かスベっても助けない!
そう心を閉ざしてしまった松原ですが「閉める」で最近1つトラウマが出来てしまいました。

毎日ほぼ同じ場所で打ち上げをしているとさすがにどんなに美味しいお店でも料理に飽きてしまいます。
そうなると打ち上げでは何も食べずにタバコがお酒のお相手になる訳で終了後にはすっかりお腹も減ってしまいます。
そんな時は限って松原はフラワーロードにある立ち食いそば屋でお腹を満たすのです。

そう。先日もペコペコで打ち上げが終わり、いつも様にほろ酔いで立ち食いそば屋の暖簾をくぐったその瞬間!!
いつも見慣れた店内から怒号の声が飛び交っているでは無いか!?

寒い浮世から暖かい天国の様なそば屋に勢いよく入った為に曇ったメガネを急いで拭いて覗いてみると、
ガテン系兄ちゃん3人とギャル男チックだけどちょっとイカつい兄ちゃん3人が口論しているでは無いか!?

「やばい!これは怖い…」

そう思うのとほぼ同時に

「面白そう…」

好奇心が脳内を占領し、意を決して混乱の渦中に身を置く事にする。
しかし店員も新規来店者の接客をしている場合では無く、この6人の間に入ろうとして慌てふためいていた。

まずは店内の奥に身を置きこの喧嘩を観察するとどうやら後から入って来たガテン系が入口の扉をちゃんと閉めなかったので
中に元々居たギャル男が「ちっ、寒いから閉めろよ。」と小声で仲間につぶやいたのがガテン系の耳に入り、喧嘩になったようだ。

「何が閉めろじゃ!誰に向かって口きいとんじゃ!」
「扉ぁ閉めるんは常識やろ、アホ!」
「なんやとコロスぞ、ボケ!」

大リーガー同士でもこんな激しく早いキャッチボールはしないであろう。

迫力に圧倒されている松原はとんでも無い事に気付いてしまう…。

「し、しまった…。俺もちゃんと扉を閉めれてない…」

そうなのである。入口の扉が少し開いてしまっているでは無いか…。
何事も無かったかの様に閉めに行くか知らん顔しているか…。
久々に究極の二択。もう目が北島康介より早く泳ぎだす。
どうしよう…どうしよう…。

その時!競泳中の松原の目の中に無名の選手が飛び込んで来る。

「さっきからウッサイんじゃ、ゴラァ!」

なんと奥に唯一ある椅子席に座ってるイカついおっさん2人が揉めてる6人に叫び出したのである。

「喧嘩すんねやったら外でやれよ!」

このルーキーの登場に6人は負ける気配なくキレ返す。

「お前に言われたないんじゃ!」
「そうじゃ!ウルサイんやったら出てけ!ボケ!」
「やんのかコラ!」「やったろかコラ!」
「外出ろや!」「上等じゃ!」

もはや誰が誰にキレてるか解らない大騒動になり8人は勢い良く外へ飛び出す。

「ちょっと…警察呼びますよ!やめてください。」

どういうつもりか店員も8人を追いかけて外へ飛び出す。
勢いよく閉められた扉は反動でほぼ全開になり、外の冷気は店内に独り残された松原に襲いかかる。
もうそばとかどうでもいいので帰りたいけど外では喧嘩が起こっているので帰る事も出来ず、扉を閉めるのも何かおかしいし、
とりあえずそばが来る事の無い店内に震えながら佇む松原。
それから警察も登場し約10分以上扉も開いたままなので
皆さんが寒さで風邪をひかない様にせめてこのコラムだけはここで強引に閉めさせて頂きます。ガラガラ。

-2013/05/06 update-