133杯目 「スリル」

今回は先日の名古屋出張でのお話し。イベントが終わり楽しく打ち上げを開催!盛り上がってしまい2軒目でもバンバン酒をあおり、ベロベロでホテルに戻る。

やっぱり酒は何を食べるかでは無く、誰と飲むかが一番大事だと再認識。

楽しい宴に気分上々で仲間たちとエレベーターに乗り、各階で別れていく。

松原はみんなの中でたまたま一番上層階の7階。最後ひとりになり、寂しさもあるが良い夜の余韻にひたっていたその瞬間!

 

感覚で言うと“見ていたテレビのコンセントに神様の足がひっかかって抜けてしまい画面がブチっと消えて真っ暗になった”様な現象が目の前に広がり、暗闇から画面がついたらホテルのロビーのソファ―に座っていた。

 

「あれ?」…

 

 

状況が解らず松原は脳内にある記憶の書類棚を大慌てで漁っている。しかし何が起きたか理解出来ず、まずは状況把握をすべきと一度周囲を見渡す。

しかし変わった事は無く、宿泊しているホテルのロビー、カウンターにはホテルマン、ロココ調のテーブルに絵画、コーヒーコーナー、衣服はお気にいりの黒のスキニーに上半身は裸。

 

今の状況を把握するには参考になりそうな情報はまった…ん?

 

 

 

…「は、裸?」

 

 

 

 

うおぉぉ!…

Tシャツは?えええ!?なんで裸なん?!

 

 

 

上半身裸は衝撃なファクターではある事は間違いないが結局、何故ロビーにいるのか解明には繋がらず、余計に謎を増やした。

とにかくこうしててもしょうがないので上半身裸で部屋に戻ってみるが鍵がかかっていて中に入れないでは無いか!

 

「最悪や、まじかー!?」鍵のかかった自分の部屋の前で怒りに任せて叫ぶ。

しかしそんなことでは何も進展しない。しょうがないのでロビーに戻ろうとエレベータに乗り込もうとしたら、なんと開いたエレベーターの扉の向こうには「こんな深夜にどこ行こうとしてんねん!」とつっこまざるえない女性6人組が談笑しているではないか!?

そして彼女達は一瞬だけ悲鳴を上げ、上半身裸で黒スキニーの男に驚きの表情を浮かべる。

 

 

うん。当然の事である。

 

 

だってエレベータの中の鏡に映った松原の恰好はほぼ「江頭2:50」である。

しかしエレベーターに入るしか無いのでゆっくり乗り込むが中は異常な空気である。

 

「どう思われているんだろう」

 

 

なんて事は考えない。

 

 

 

 

だって絶対“変態”だと思っているから。

 

地獄の罰ゲーム的エレベーターがロビーに到着し、女子たちを背中に慌ててフロントマンに駆け寄り、「インキーしたので空けて欲しい」と伝え、事情を理解してくれたフロントマンと一緒に2人きりでまた乗って来たエレベーターに戻り、乗り込む。

 

しかし7階と言う距離は無言だと強烈な長さである。

 

 

頼むから何故、裸なのか理由を聞いてくれぇぇ!!

 

もう何か情けなくて泣きそうになる。そしてようやく到着し、鍵を開けてもらい部屋の中に入ると脱ぎ捨てられたTシャツと空っぽのワインが転がっている。

 

状況から推測するとみんなと別れて部屋に戻った松原はひとりでワインを飲んで、寝ようとTシャツを脱いだけど飲み足りなくてコンビニに行こうとしたけどやっぱ眠くてロビーのソファ―で寝てしまった。

…としか考えられない。じっちゃんの名にかけて。

 

とにかく全く記憶が無いというのが恐ろしい。自分が怖くなりテンパって来たので一旦、落ち着こうと部屋を出て廊下にある自動販売機で水を買い、部屋の前に戻った時に恐ろしい事実に気付く。

 

 

「鍵、部屋の中や…」

 

 

 

時刻はもう朝の5時前。“松原4:50”はまた地獄のエレベータに乗り込んだ…。(BGM♪「スリル/布袋寅泰)

-2016/05/27 update-