コラム「人生打ち上げかけつけ」

松原裕 コラム

2005年より13年間1ヶ月も休まずに連載を続けている太陽と虎代表 松原裕のマンスリーコラム。

人生とは打ち上げのように激しく乱れて華やかに散る。
ならばかけつけイッキで酔ったもの勝ち。

そんな日々起こる不可思議で愉快な体験を綴る太陽と虎マンスリーコラムスケジュール誌に連載中のかけつけコラムWEB版。

笑いをアテに何杯でもイッキしてください。

※本コラムは本人が「がん」を理由に2016年10月を持って休載しておりますが、「絶対休む機会を探していて「がん」になって「よっしゃ!これや!」と思ったに違いない。」「連載が始まって13年間140話以上書き続けてネタ切れになったんじゃないですかね?」関係者談。
「そ、そんなわけないやん!ネタが溢れて溺れそうやわ!ただ体調が…。」本人談。

という事で2016年10月より、体調が良い時にWEB版のみ更新する不定期連載になりましたので、テレビの裏面を掃除するぐらいの頻度でこのページも覗いてくださいね。

3杯目 「ビデオテープの持ち主」

すいかの緑が店先をにぎわかしている今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?

夏の思い出は熟してますか? 松原の思い出ですか?

松原なんて、セミの鳴き声さえも高架下の電車の音でかき消されています…
なので夏と言えば昔の思い出でがこみ上げて来ます…
そうあれは中学生の頃、松原の友人N氏の出来事です。

 

 

 

 

両親が買い物に出かけた夏休みのとある1日、彼は自宅でお留守番だった。
しかしテンションは高かった…。

何故? それは、友達から借りたエロビデを見れるからだ!
部屋にビデオがない彼はこの日を心の底から待ち望んでいた!!
そして逸る気持ちを抑え切れずリビングにあるビデオデッキにその夢のテープを入れた!
彼は初めてのエロビデに興奮が絶頂に達し、待ち切れず早送りをした!
するとその時、彼の悲劇の始まりを知らせる音が鳴り響く…

 

 

ウィーーーン(早送りの音)  … ガっ!ガガガ… ギュイ~ン… ガッ!

なんと!ビデオが絡まって止まってしまったのだっ!
急いで再生ボタンや巻き戻しなど押してみるがテープが絡まって微動だにしない!
しかも頼みの綱 「取り出しボタン」 も反応しない…

両親の買い物と言っても遠出ではなく近くのスーパーだ!
そんなに時間の猶予もない…
まるで彼が早送りされているかの様に慌てふためきながら電気屋に電話してみる。
しかし日曜日なので繋がらない…

タウンページで片っ端から電気屋に電話してやっと繋がったある電気屋。

「お願いします!ビデオが詰まったので早く取り出してください!」

「わかりました。後数時間後に伺います。」

「いや!それは困ります!両親が帰って来るまでになんとかお願いします!(泣)」

ビデオが壊れて両親にバレるのが怖くて泣きついているんだろう。と勝手に解釈してくれた電気屋は、すぐに駆けつけてビデオテープを取り出してく れた!
しかし出てきたテープは

「悶絶!快感200%!(仮)」

当然エアーは凍りついたが、電気屋に感謝の意と5000円を支払い、丁重に帰って頂いた…

 

 

…確かに「悶絶」と「快感」を得た彼、15歳の夏の出来事。

 
ってか!おいっ!
お前に返したこのビデオテープ、壊れてるやんけっ!弁償しろっ!

2杯目 「エレベーターの定員」

どうも!最近所得に見合ってない飲み代を浪費してビックリしている松原です。

いやいや、先日ね、某デパートのエレベーターに乗ったんすよ。
そのエレベーターはかなりギュウギュウだった。
そして途中の階に止まった時、2人のカップルが入ってきた。

男性の方は背が高く、かなり華奢な体付き。
しかし一方の女性はピンクの趣味の悪い服を身にまとった、俗に言うデブだ。

ピンクの電話の太い奴の体系に人相悪い顔を乗せた感じ。
その2人のうち、まず男性が先に乗り込んで来た。
そして女性が乗り込んだ瞬間…


「ビーーーーーッ!」

エレベーターのナイスジャッジが響き渡るっ!

すると、事もあろうにそのデブは怠そうに

「もぉ~!」

と男性に向ってほざき、 ムカついた態度120%で出て行った。
なんじゃこいつはっ! エレベーター内の空気は一瞬で悪くなった。

そんな悪い空気のまま次の階に着いたら、また2人のカップルが入ってこようとしていた。
今度は普通のカップルだったが2人共、何事も無くシレっと乗り込んでエレベーターは閉まった。
その瞬間、松原達チームエレベーターズは爆笑してしまった!

エレベーターの中の向かいに居た知らない人や後ろの見ず知らずの人達と笑い合った。
なんて素晴らしい事なんだ!赤の他人とこんな狭い箱の中で打ち解け合う。
人と人の触れ合いを感じて、すごく優しい気持ちになれた…。

ありがとう!あの時のデブ!
ありがとう!建築基準法!
ありがとう!人間1人を65kgと見積もって定員を計算してくれて!

1杯目 「回転寿司ごっこ」

ちょっと前の出来事なんだけど、用事が終わり昼メシを食おうと思い、自宅付近の湊川と言う所の商店街のはずれに車を停めた。

するとちょうどそこから回転寿司の看板が見えたので勇気を出して一人回転寿司にチャレンジした。
見た目からしてちょっと怪しかったが、静かに食事したい気分だったのでこの人気の無さは好都合である。

入ってみると演歌をBGMにガランとあまり広くない店内が広がる。
「ピンポ~ン」と入った時の呼び鈴みたいなんが鳴って、 かなりワンテンポ遅れて奥の厨房から「いらっしゃいませ!」とおばさんの声が聞こえた。
とりあえず松原しかいない店内だったが席についた。

 

 

すると厨房からその声のおばさんがやって来て、松原の目の前でお茶を入れ出した。

と言うのも普通回転寿司の「お茶」ってセルフやん?
でもこのおばさん、松原の目の前にある茶葉を湯のみに入れ注いでくれた。
過剰なサービスに少し戸惑いながらも、気にせず、腹も減ってるので食べようと思い回転してる寿司を見たら…

 

 

何にも回ってないやんけっ!!
っていうか正確には“寿司のネタを書いた紙”がお皿に立てて回っているだけ…

『えっ!?これネタ?ネタは?』

なんて上手い事を考えながら、 ショウガナイのでインターホンで注文する事にした。

 

しかしそのインターホンに付いてる席番の数字も画用紙にメッチャ手書きの数字やし…
なんかテンション下がるっちゅーねん!

 

とりあえず「プルルル」と鳴らしてみた。

ほんなら松原のほぼ後ろにおったさっきのおばさんがめっちゃダッシュで厨房に走り出した…

『え?』

って思った瞬間、インターホンからさっきのおばちゃんの声で

「ハイ!ご注文は?」

って店員1人かよっ!ど~なってんねん!この店わ!回転寿司屋ゴッコか?
あまりにもビックリして茶碗蒸しとビール頼んでもたやんけ!

寿司出せ、寿司を! で、茶碗蒸し出てくるのん早すぎっ!

んでおばさん!持って来てくれたんいいけど、そのまま松原のそばにおったら注文しにくいやんけ!

 

 

鳴らしたらまた厨房行くんやろ?
ほんなら厨房おれよ!俺は何をあてにビール飲んだらええねん!コラァ!

 

しゃーないから直接寿司を頼んだらまた厨房に戻って、数秒したらインターホンが鳴っておばさんが

「今、注文の商品が回って来ます」

って、ええっ!逆コールありなん?

そんなん聞いた事ないで! それに回ってくるのん分かるし!

 

 

 

 
んでまた戻ってくるなぁぁぁぁ!
なんやここ!二度とくるかぁ!(Mr.ベータ風)