102杯目 「デスノート」
こないだ小4の息子君のランドセルから連絡帳を取ろうとしたら間違えて自由帳を出しちゃったんだけどその自由帳の表紙に書いてある自由帳って文字を黒く塗りつぶして手書きで「デスノート」って書いてあったよ。
恐る恐るデスノートを開いたら息子君がよく遊んでいて最近家に来なくなった同級生の男の子の名前がページにびっしり書かれていたよ。
は~い。こんにちわ。神戸が生んだ奇跡・松原の大人気コラムが始まりました!(情緒不安定の為、過信失礼致します。)
しかし息子くんには友達を大切にしてもらいたいものです。
そんな松原は小学校2年生からの幼馴染である「道田(仮名)」という家も徒歩1分の同級生の友達がおります。
彼は本当に不幸な身の上で、お父さんは物心ついてから無職で母親は失踪。
祖母と祖父の年金で食いつないでいる昼ドラ級の逸材。
そんな彼が20歳の時に結婚したのですが、その嫁が詐欺で捕まってしまい、マンションを買ったばかりの彼は多額の借金を背負う事になった…。
首が回らなくなった彼を見るに見かねて松原はその時に貯金していた100万円近くのお金を貸す事になる。彼が助かるなら安いものである!
これでマンションを追い出されずに済み、一安心!
…と思いきや出所して来たその嫁は彼のクレジットカードを使いまくり、
浪費を繰り返し、遂に離婚する事になる。マンションのローンも払えず残された彼は夜逃げという選択肢しか無くなってしまう…。
松原は当然その夜逃げを手伝うべく家財道具を一式車に詰め込み人生初の夜逃げ屋本舗を行った。
そして普通の所では働けなくなった彼に太陽と虎の照明スタッフになってもらい一緒に働き、真面目に人生を歩む事になる。
しかし美味しいおでんの様に奥底から真面目が染み込んだ彼はやはりマンションのローンが気になり、
2012年の年末自己破産をする事を決意。
松原も雇用主として様々な書類にサインをして彼の身が綺麗になる事に力を注いだ。
もう20年以上連れ添った親友の新たな門出を手放しに喜び、感慨深く手続きを見守った。
真面目な彼は松原に借りたお金も早く返したいと思っているに違い無い。
それも自己破産をする理由の1つかもしれない。
そう思うと胸が熱くなる。
彼も感謝の気持ちを述べてくれて照れくささの中に感じる幼馴染でしか解らない友情を見つめ合う目の間に浮かべた。
すると手続きが終わった別れ際に彼は気持ちがきっと楽になり冗談を一言を残した。
「これで自己破産か…。ようやくすっきりした。ありがとう。…でもこの自己破産って弁護士が言っててんけど友達に借りてたお金もチャラになるねんてね。」
松原は彼の冗談を笑い、彼も共に笑いあった。
そして書類を持って裁判所に向かう彼の背中に手を振って見送った。
それから数日後…。
松原の元に裁判所と弁護士から「債権者様」と書かれた一通の封書が届く。
急いで封を切った。
その封書の内容を要約すると「貴方の貸したお金はもう返ってきませんよ。文句ないよね!」
その日、松原は家に帰りペンを片手にランドレルから「デスノート」を急いで抜き出した。
-2013/07/03 update-