46杯目「若かった松原」
某バンドの曲名で「顔射」と言う曲が有るのですが、
当店女性照明スタッフがそのバンドのリハ中にホール中に響く大声でこう叫んだ。
「すみません!もう一度“顔射”お願い出来ますか?」
は~い!という事で痛快な下ネタで始まりました、全国で大絶賛松原コラム!
そんな才気溢れる僕もさすがに昔は純真無垢な高校生時代がありました。
高校3年生18歳の秋、僕の人生を変える大きな事件が起こったのです。
母が…
実の母が…
僕が18歳の秋を迎えた時…
母が…
43歳だった事は関係無いのですが、
今まで学内だけの学園祭がなんと一般の方も来場可能となる革命が起きたのです。
誰でも入れるようになり軽音楽部部長の松原としては学園祭で行うライブを沢山の人に見てもらえるチャンス!
と高校生活最後の思い出を作りに張り切って臨む緊張の学園祭当日。
広い体育館は満員御礼。
黒夢のコピーバンドVOCALの松原は中学生時代の友人、家族、他校のバンド仲間を動員し、
意気揚々とステージで音を奏でる初の大舞台。
調子に乗った松原は客席を煽り、場内をライブハウスに変えようと必死。
すると真っ暗な客席から野次が飛ぶ!
何を言ってるか解らないが友人の歓声が嬉しくなり
「お前ら殺すぞ~!かかってこ~い!(笑)」
なんて感じのコール&レスポンス合戦。
無事ヴィジュアル系な我々はライブを成功に収め体育館裏で甘美な思いに酔いしれている。
と、女子の悲鳴が聞こえてくる。
え?何があったの?みんなでザワザワしていた瞬間、目の前に蹴りが飛んできました。
あれ?今、顔面蹴られた?
痛みが感覚を把握する中枢に達する前に数人のヤンキーに囲まれている松原。
ちょwwなんで?そんな問いかけが言葉に変わったのかどうかも記憶出来ていない。
とにかくヤンキー数人にリンチされている松原。
「ゴラァ!殺してみろや!」
「お前が言う通りかかって来たったで!」
殴られながらヤンキーの叫ぶ声に理由を発見。
そっか…ライブ中の野次はこの人らで、俺は勘違いしてヤンキーに「殺すぞ」とか言ってもてたんや…
後悔という言葉は日本語の中でも最も無意味な物と気付いたのはこの時である。
そうなんです。後悔先に立たず。
とりあえず体育教官や警察が到着した時には何とか事は収まり松原は方針状態。
パトカーから見える帰路の風景はいつもと変わらず、
心配そうに見守る同級生の後ろに聳える校舎はまるで青空を突き刺す様に高く僕を見送ってくれた。
時は経ち、成長した松原は先日出演バンドに今日のダメ出しを偉そうに話しいるとそのバンドマンが僕の高校の後輩だと判明。
その瞬間、後輩の子が
「貴方が松原さんなんですか?」
え…もしかしてあの事件の事を知っているのか?
「もう!松原さんのせいで今、学園祭が学内行事になっちゃったじゃないでか!」
キターーーー!最悪!さっきまで偉そうに話してたのにカッコ悪るっ!
亡くしたい過去ランキング3位には入るコノ事件はまだ僕を苦しめるのか…そう思った瞬間、彼はこう続けた。
「凄いっすよね!松原さん数人のヤンキーをしばいたんでしょ?ロックですよね!伝説っすよ。」
これを聞いた僕は思わず口にした。
「いや~、あの時は若かったからな~…ついカッとなってな。」
-2008/04/05 update-