113杯目 「車内大パニック」

いつもあざます。太陽と虎/松原です。(挨拶!)
今回も痛快コラムが幕を開けましたが、先日博多出張に出かけた時の事です。
朝、目覚めると「あれ、今日冷凍庫で寝てたっけ?」と勘違いする程の寒波日。
布団の方が松原の体温を欲するぐらいの寒さだが気合で新神戸駅へ向かう。
道路も雪まみれでタクシーも遅れ、朝8時発の新幹線にギリギリ間に合う。

が、新神戸駅は大混雑。
いつもと違う景色に違和感を感じ、電光掲示板を見上げると(90分遅れ)の文字が目に飛び込んでくる。

うわ!!!大雪の為にダイアが乱れ狂ってるのだ!
11時までに博多に辿り着かないといけない松原は寒いのに冷や汗という汗をかく。

とりあえずホームに上がるが電光掲示板の遅延時間はますます成長を辿る。
これは万事休す。
すると本来松原が乗る列車の2時間前の列車がようやくホームに到着する。
自由席であれば乗車出来るぐらいの知識がある松原は悩むより先にその2時間前の列車の自由席車両に飛び乗る!

が、同じ発想をする人間はもちろん沢山いる訳で自由席は想像を絶する満席…
ってどころか通路までギュウギュウ。
こんなギュウギュウの新幹線は見た事が無い!
松原はなんとか列車にもぐり込み、喫煙所やトイレがある通路にギリギリ立つ位置を確保する。
しかし本当にトイレさえいけない程のギュウギュウ具合でこんな状態で2時間半…。
これなら自転車で博多を目指した方が楽じゃね?的な苦痛。
隣のおっさんの息遣いが松原の頬を温め、酸素は曇り、快適なはず新幹線は劣悪な環境へと成り下がる。
絶望が松原を支配したその瞬間!

通路の奥で「キャーー!」という叫び声がこだます!

な、なにごと!?

「誰か倒れた!?」という声が聞こえる。
狭い通路に飽和した人々が声の聞こえた方を一斉に振り向くがギュウギュウの為、全然何が起こってるか把握できない…。
松原も猛烈に気になるが身動きが取れない。
この状況では音のみの情報に頼るしかない。
周囲がザワザワと騒ぐが聞こえ、松原の周囲も「誰かが倒れたらしい」「え?倒れたの?」「大丈夫なのか?」
と狭い通路の中はパニックに陥る。
続いて奥の方から「非常ボタンはありませんか!?」と鬼気迫る声が聞こえる。

そ、そんなにヤバいの?

松原の周りではその声に反応し、全員が一斉に壁を見回す。
よりパニック状態に。
松原も心拍数が上がり、緊張感が走る。
しかし非常ボタンは見当たらない。

「非常ボタンはありません!」
「非常ボタンないって!」
「車掌を呼べ!」
「おばあさんは大丈夫なの?」
「誰か医者はいませんか?」
「若い女の人が倒れたんじゃないの?」
「みんな落ち着け!」
「水はないのか!?」
「一体どうなってるんだ!」
「誰が倒れたんだ!」

それぞれが様々に叫び、通路はカオスと化す。
もう何が正しいのか?何が起きているのか?
そんなやりとりが数分繰り返され、ようやく静寂がゆっくりとその場を制する。
通路の全員が状況を把握する為に沈黙を選び、回答を待つ。
しかし一向に状況を伝える人は現れない。
最初の声が聞こえた方に行きたいが身動きが取れない。
一体何がどうなっているのか知りたくて気が狂いそうになった瞬間、

「すみません。勘違いでした。」

とどこからか女性の声が聞こえる。

そっか、勘違いなんかー!…って何を勘違いしたん?
えー、それで終わり?みんなそれでエエの?
うわぁぁぁ気になる!!頭がおかしくなる!教えてー!
何と勘違いしたん?
このままじゃこの話も松原もオチつかないよ…涙

-2014/05/31 update-