125杯目 「2回目」

結婚とは、ただ一人のために残りの人々をすべて断念せねばならぬ行為である。byムーア。

はーい!という事で多くの読者が「恋のから騒ぎ」を彷彿する名言から始まった松原の痛快コラムのお時間です。
今回のお話は冒頭の名言から推測される通り「結婚」でございます。
この「結婚」というのは様々な見解がある訳ですが、松原に関してはこの2文字を見ると上着を羽織りたくなる程、体が震えてしまうのです。
お察しの通り、思春期をこじらせたまま大人になってしまった松原は20歳で早期結婚、23歳でスピード離婚のバツイチ子持ちのシングルファザーな訳です。

しかし!実は社内には松原と同じく安定のバツイチがもう1人在籍しております。

その名も「山口 雄太(30)」であります。

彼を知ってる方は、「あれ?苗字が“若狭”じゃなかったっけ?」と言う脳内ツッコミをさせてしまったと思いますが、実は以前の結婚で養子に入り、“山口”から“若狭”になり、離婚したけど面倒臭いのか、そのまま“若狭”に成りすましていたという苗字をとてもライトに考えているアッパーな男である。
なのでほとんどの方が“若狭”と認識していると思うのですがそんな彼が“山口”に戻るきっかけが訪れたのである。
なんと!社員旅行中の台湾で出会った素敵な女神と先日!見事結婚をしたのである!!!
三度のメシよりお祝い事が大好きな弊社は全ての業務をお休みし、社員全員で“山口”という本当の姿に戻った彼の結婚式に挑む事は言うまでもない!
普段ロクでもない恰好の我々は衣装に申し訳ないぐらい綺麗に着飾り、式場に向かう。
大阪駅直結の式場に集う我々音楽業界人 vs 新婦側はなんと医者たちなのである!そう!新婦は看護婦の為、参列者は社会に認められた高所得者軍団。
そんなピラミッドの上の方にいる人間へのコンプレックスは人一倍強い我々は相手サイドを威嚇する為に式からテンションを上げて盛り上がる。
そしてお楽しみの披露宴が始まり、松原は会社の代表として“祝辞”を任命される。
披露宴で司会者の次にマイクを使う重大な役。
前日の打ち上げのまま参加している松原は現在進行形で酔っぱらっているが、医者たちに舐められる訳にはいかない!
固く、真面目なスピーチと少しだけのボケを入り混ぜて、この宴のスタートロープを切る。
そこからは楽しい余興と涙腺をくすぐりにくるビデオ演出など、最初は敵視していた医者軍団と打ち解け、松原は各テーブルでイッキ芸を披露する程、打ち解けていく。
そして衣装直しの後は、式場の思惑通り、どんどん感動をこすりつけてくる。

「まんまと我々が感動すると思うなよ!」

そんな意気込みが会場を包むが、アルコールが見事かき消し、クライマックスの新郎“山口雄太”のスピーチでは本人はもちろん、お母さんも号泣。息子と母の涙の形をトレイスする事は容易である。

母子家庭で育ち、恐らくお母さんは一人で雄太とお姉ちゃんを立派に育てあげたのである。
きっと並ならぬ苦労と努力があり、そんな息子が伝える母への思い、そしてこれからの新しい夫婦生活へ明るい未来の扉を開こうとするその場で涙しない母親がいるだろうか。医者軍団もその姿に涙腺をゆるませる。
雄太、お母さん、本当におめでとうございます。
そしてその号泣する母と子の愛の涙を見て、我々はもちろん全員が思いを1つにする。

「…いや、でも、あんたら結婚2回目やん!」

-2015/08/02 update-