70杯目「新幹線の土俵際」

口内炎が出来ているのにポテトチップ1袋完食しちゃったよ。

ドSだと思っていた自分のドM部分発見で日々知らない自分コンニチワってステキですね。

そんな松原は先日東京出張にて首都を震撼させて帰る新幹線の中、ここでまさかのビックリ体験

発車寸前に到着した東京駅。慌てて駆けつけたみどりの窓口で運よく3人席窓側指定をGET!
まだ見ぬ窓側指定席に会う為に新幹線に乗り込む。
すると混みマークがついていた車両なのにガラガラである。
そんな事は特に気にかけず愛しのチェアーと対面。
約3時間の時を共にするパートナーとしては申し分無い。

すると待ちわびていたかの様に眠りがやってきた。
疲れも手伝ってものの一瞬だが完全なる夢の世界を体験する。

しかし何故か快適なはずの新幹線なのにどうも暑く寝苦しさに目を覚ます。

だが、いつもと変わらない新幹線の風景。
流れる車窓、快適な椅子、正面には折りたたみのテーブル、
隣の席には力士。

いつも通りの新幹線の環境が松原を取り巻…

り、力士ぃぃ~!!!!!!!!!!!!!!!!!

ちょww  隣の席に力士が乗っているでは無いか!!

いや、正確に言うと隣の隣の席だ!
そう!彼は2席を1人で座っているのだ。
ブラウン管でしか見たことの無い力士。相撲をする人間を指すあの力士
大相撲に参加する選手の総称の力士が今ボクの横にいるよ。たすけて。
しかも隣の席には余裕をかまして置いていた松原の鞄があった。
もう松原の鞄なのか力士の鞄なのか解らないぐらい二人の距離は接近し、テリトリーが解らない。
こいつは俺の鞄を自分の者にしようとしているのかも!
そんな事はさせない!
そんな独り相撲の結論、鞄を上のボックスにしまうべく立ち上がった松原は騒然となる。
ハメラレタ…。

まさかである。
松原が乗り込んだ車両は完全に力士が完全に支配しているではないか!

見渡す限り力士がウジャウジャいる!
3人席に2人で座り、マゲが所狭しと並ぶ。
相撲に知識の無い松原は誰が有名力士か解らないのでもう全員同じ顔に見える。
ドラゴンボールで言うナメック星人状態。
もうこれは驚愕の光景である。
この事実が認識に浸透するのを待つがこちらは長い間、頭を空白にしておくような贅沢は与えられていない。
「このままじゃ俺まで力士にさせられてしまう…」
そんな脅迫観念が充満したこの車両から一刻も早く脱出しなければ…
しかし隣の力士がまるでワインのコルクの如く松原の風味ごと逃さない様に行く手を阻む。
無茶苦茶通り難いがこのままじゃ力士に洗脳される。
脱出を心に決めた瞬間、シートの前にあるテーブルを降ろし出したのである。

「バ、バレた!!!!」

松原がこの車両から逃げようとしているのがバレているのである。
人生初体験の時速300kの土俵際。
力士がその弁当を食べ終わるのを待つしかない。
逆に考えると「ちゃんこ」じゃなかっただけ不幸中の幸いである。

待つ事、数分でさすが力士は食事を終え、テーブルを片付けだした瞬間、
人生で最高の「すみません!」を繰り出し脱出に成功したのである。

通路を歩きその車両を見渡すがやはり凄い光景。
なんか力士が居すぎてもう泣きそう。
しかし数人だが一般人の生存者を発見。
みんな正気を失って倒れるように寝ている。
年老いた人はもう力士に汚染されマゲになる直前の様にも見える。

何とか力士車両から脱出し安堵の溜息をつくや否やトンデモナイミスに気付く。
そうなのだ。鞄を上のBOXに忘れてきているではないか!

嗚呼ぁなんてことだ。勇気を振り絞り力士車両に戻る大博打!

しかし決断を下すのに時間がかかったお陰で力士達はほぼ眠りについていた。
チャンス!
慌てて自分の席に戻ると松原の隣の隣に座っていた力士が横に体を傾けて松原の席に頭がはみ出して3席を占領しているではないか!

野球で言うと1つの席が赤いアウトランプなら完全に3アウトチェンジ!
ボクは賭けに負けたのだ。
この野球賭博に負けた松原は鞄を諦め悔し涙を浮かべ思う。

こいつはやっぱり本物の“席取り”だったんだ…。

-2010/07/30 update-