74杯目「難解な日本語」

今回はなんと年末拡大版でお送りする松原の大人気コラムだよ。
今回のお話は松山に出張した夜の出来事。

街から離れた居酒屋で打ち上げを行いホテルまで帰るバンドのタクシーに便乗。

しかし無理やり7人で乗り込んだが、狭さに耐え切れず、辺鄙な場所でいきなりタクシーを降りた松原。

ギャグのつもりだったので、すぐに戻ったのだがタクシーは姿を消していた。

まじで…。

いまさら「引き返して」とも言えないので孤独を背負い土地感の無いこの地で行くアテも無く歩く事に。

いつもの様にホテルを取らずその場のオモシロに柔軟に対応出来るスタイルが功を奏した結果だ

。しかし季節は厚手の冬を身に纏い、まるで初心者のバイオハザードの如く手は自分の思い通りに動かない。
このまま朝まで歩き続けるのは見ず知らずの人に貴重品を預けるぐらい危険である。

「誰か助けて…」

僅かにしか照らさない外灯が作った自分の影を未知の救世主にみたてて呟いた。

その時!

「ドウシタ?」

いきなり声をかけて来た1人の女性。
それが後にこのコラムの救世主となる「にんにん」と名乗る韓国の女性である。

どこか暖かいホテルか漫喫を探していると相談する。
すると「ワタシ、シッテル。仮眠デキル。マッサージモ出来テ3000円。イケル?」韓国女性say。

「えええ!ホンマ?泊まれてマッサージで3000円でいけるの?」
「イケル!コッチ!」

もう深夜4時を回っていたので電車が出る時間まで仮眠をしようと韓国エステと書いたお店に入る事にする。

そしてすぐさまマッサージが始まる。

…のだが、ものの10分程経ってから

「オ兄サン、モウ手ガ疲レタ。延長スル?1000円。」

ゴラァァ!もうちょっと頑張れよ!

そう思いつつも全く気持ちよく無いし、なんだったら仮眠を取りたかったので

「あ、じゃーもういいです。寝ますわ。」と返答する。
すると韓国人女性は「ワカッタ」と不満げな顔で頷き、
「ジャー出口アッチ」と外に誘導するでは無いか!

エエエエ!!

いや、仮眠出来るって言ったやん!!
絶対言ったやん!

勢いよく突っ込むと
「仮眠出来ル漫喫ガコノビルノ4階ニアル」 

了解~!ほな~…
って、なるかボケ!

ええ加減にせーよ。

しかしどれだけ怒っても
「仮眠とマッサージが出来るビル」の一点押し。

もう面倒臭くなった松原さんは諦めて上の階の漫喫へ。

店内は閑散として未だ見た事の無い完全に個人経営風の満喫。

もう数時間なのでどこでもいいし、入る事に。
しかしこんな狭い漫喫は初めてである。

3時間パック前金制でシステムだけしっかりしてある。
無愛想なおじさんは松原にドリンクとそこにある食べ物などは無料と告げ、
フラットルームと名づけられた座椅子だけのある簡易に仕切られた空間を案内する。

食べ物が無料とは中々素晴らしいシステムである。
しかしこのフラットルームは目の前の客がガンガンに見える囲い方で想像を絶する気まずさである。

なんなら目の前のおばさんが読んでいる本まで解る始末。

しょうがないので横になり、仮眠を取る事にする。

するとすぐさま店員のおじさんが「どうぞ!」といい冷凍チンのタコヤキを持って来てくれた。

マジで?これもサービス?

小腹が空いていたので至極嬉しい
早速そのタコヤキを食べる事に。

すると間も無く、目の前の席のおばさんがトイレから帰ってきた。

その瞬間!
「なにしとるんじゃー!」

いきなり松原に怒号を浴びせてきた。

その声に反応して店員が駆け寄ってきた。
おばさんは店員に向かって

「こいつがワシのタコヤキ勝手に食べとるんじゃ!」

イヤイヤイヤイヤ!店員さんがくれたのでてっきりサービスと思い込んでしまってすみません!

必死で説明し誤解を解くが満喫が最悪の空気である。
でも何が最悪ってその誤解が解けた後も互いの姿が正面に見えるこの空間にいる事が耐え切れない。

10分もしないうちにギブアップした松原は結局店を出て、寒空の下へ帰る事になる。

段々腹が立って来た松原は3階の例の韓国エステに怒鳴り込にいくことにする!
するとにんにんもヒステリックに逆ギレして来て激しい言い合いが始まる。

そして最後に彼女は松原にこう叫んできた!

「オマエナンテ、デテイケ! コッチコイ!」

“難解”な言葉を突きつけられ
次は一体“何階”に連れて行かれるのだろうか…

-2010/12/10 update-