129杯目 「ロッカーの鍵」

ごきげんよう。松原の痛快コラムのお時間だよ!

今回も皆様に楽しく読んで頂けます様、頑張りますので

“何年も浪人している息子が自暴自棄になってしまったけど何回も説得をして、最後にもう1回受験する気持ちに変わり、家計も苦しい中で無理して雇った高額家庭教師に対するテンション”

でよろしくお願いします!!!

と言う事で先日、京都でイベントを開催した時のお話です。

基本的に所属アーティストに帯同して外のイベントに行った時の松原は現場に居ても特にする事が無く、肩身も狭く、居場所が無い中で頑張っているのですが、
唯一!!自分の存在価値を感じる仕事があります。

それは所属アーティストの財布を預かる任務です。

この仕事だけをしに行っていると言っても過言では無い松原ですが
もちろん今回も財布を預かる訳です!

財布を預かる瞬間だけは、自分の存在意義を感じ、アイデンティティーが確立する快感。
自分はこの社会から世界から必要とされていると確認できる。

今日もしっかり責任あるこの業務をこなし、ライブ終わりにメンバーに手渡すその時まで緊張と充実を独り占めするのです。

しかし!今回は少しイレギュラーな事に本番前では無くリハーサル前に財布を預かって欲しいとお達しが。
という事はトータル7時間も預かるという異例の状態に。
さすがにそんな長時間も人の財布を預かり、緊張を背負い続けるなんて出来ない。
そう怯えてしまった松原は、禁断の技を思いついてしまう。

それはあるまじき行為。
アスリートが緊張とプレッシャーから逃れる為にドーピングを行うのと同様の行為。

罪の意識が無かったと言えば嘘になる。
魔が差したという言葉では言い訳にならない事も解っている。
でもしょうがなかった。
7時間も緊張と二人三脚する自信が無かった。

…そう、財布をイベント会館の貴重品コインロッカーに預けてしまったのです。
ついでに自分の財布も一緒に。

神様、言い訳するつもりはありません。
でもライブ終わる前に取り出せばバレる訳が無いという甘い考えもあった。
そう、バレなければいいんだ。
そんな軽い気持ちで預けてしまった2つの財布。

これが不幸の始まりである。

無事何事も無く、ライブが終わり、良きタイミングで取り出そうと考えていた矢先に普段、大した仕事の無い松原に数々の業務が圧し掛かってきたのです。
業務をこなし、退館時間ぎりぎりで飛び出し、ようやく打ち上げ会場に合流。
珍しく忙しい自分に酔いしれ、美味しいお酒が飲めると席に着いた瞬間!

悲劇は一瞬で襲ってくる。

「あ!まっちゃん、預けてた俺の財布返して~

…絶句とはこの事である。

そうなんです!預かった財布は貴重品ロッカーの中である。
慌てて会場に連絡するがもちろん閉館なう。
唯一の生きがいとしていた財布を預かる業務の失態に愕然。
苛立つメンバーに極上の謝罪を繰り広げ、明日朝一で会館から財布を取り出し、家に届ける約束を交わし、何とか納得してもらう。
そして“財布さえも預かれない”無一文の松原は行く宛ても無く、ただただ夜風にあたりながら京都・木屋町を徘徊。

行くあてもなく、途方に暮れ、鴨川を見つめながらポケットから取り出したロッカーの鍵。
何もする事なく、鍵を見つめていると重大な事に気づく。
これはロックバンドのメンバー=“ロッカー”の財布を入れた“ロッカー”の鍵。
言うならば“ロッカー”の鍵の中の“ロッカー”の鍵!キングオブ“ロッカー”の鍵なのだ!

以上。

※補足:「え?松原クラスの人間がこんなダジャレを?」と疑問を持たれた方へのご説明
オチにワザとこの“ロッカー”の鍵と言うクソしょうも無いダジャレを使い、スベって読者の皆様の信用を失う事は今回の失態に対する自分への戒めと考えております。

-2015/12/24 update-