105杯目 「タコ焼きの丸は人を繋ぐ円」

貴方の心を弄ぶいたずらフェアリー松原のコラムが始まりました!

いつも何の話を書くか悩んでるんだけど最近このコラムに書けないような凄い出来事ばかり起こる今日この頃。
しかし書けないというのも、それもこれも失ってはいけないモノが増えたという事なのでプラスで考えていると、
ここまで何も失うものが無い人がいるのか!?
と驚いた出来事がありました。

公私で仲良しのある先輩バンドがおります。
本当に愉快な人たちで大好きなのですが、先日広島でライブをしたその夜、激しい打ち上げだったようでメンバーの一人(以後M氏)が相当酔っ払って潰れてしまったのです。
それはよくある光景なのですが、その日は普段より拍車をかけて酔いつぶれていたので他のメンバーもきっと普段のウップンと酒の力で良識のモノサシが屈折していたのだろうか、
M氏の面白い処理の仕方として、なんとM氏を広島の道端に置いて東京に帰るという地獄の鬼さえヘド吐く諸行を遂行してしまったのだ!!

きっと車内は中学生時代に初めて行った万引きの後の様な“やってはいけない事”のドキドキで盛り上がったと推測できる。
松原もこの文章を書きながらワクワクが止まらない。
M氏はこのまま広島の道端で目が冷めてどう思うのだろう?
すぐに現実が脳内に染み込むのだろうか?
作家気分で主人公の行動を推測する楽しさが溢れてくる。
仮に自分がそんな状態になったと考えると如何に面白くして広島から東京に帰るかのプレッシャーが恐ろしい。

ヒッチハイクで帰るか?いや、自転車を調達して帰る?…
なんて恐ろしいんだ。

普通に新幹線で帰るなんてつまらない事は出来ない。
この広島置き去り事件を聞いた松原はこの話の行く末を期待した。
しかし進捗は松原の元に届かず、すっかりこの話も忘れて約一ヶ月の月日が経ったころ、
そのバンドのリーダーから連絡が入ったのだ!

なんとそのリーダーは別のバンドもやっていてこの1ヶ月はM氏と一緒にやっているバンドはお休みで別バンドのツアーに回っていた。
そしてそのメンバーと広島のライブのリハーサルを終えて、広島をぶらぶらと観光していたら、美味しそうなたこ焼き屋を発見。
小腹も空いていたのでみんなでたこ焼きを食べる事になった。

「おじちゃん、たこ焼き4つください~」
そんな声を店員にかけたのだろう。
「はいよ~」
店員からきっとたこ焼き屋らしい威勢のいい返事が返ってきたはず。

しかしその威勢のいい声に聞き覚えがあった時、みんなはどうしますか?

そうなのだ!!!!!M氏が働いていたのだ!
ウォォ!!!慌ててリーダーが叫ぶ!
「お、おまえ何してんねん!」
「いや、一ヶ月前、目が覚めたら広島に居て、財布も携帯もなくて帰えれなくて困ってたらたこ焼き屋の大将と出会って、いま住み込みで働かせてもらってるんです。」

なんて素敵なオチなんだ!松原は衝撃する。
こんな奇跡の様な再会があるなんてライクア昼ドラ!
現実問題確率は海抜以下だ。
そしてリーダーは「じゃー頑張れよ」とエールとお代金を置き、颯爽とその場を後にしたとのこと。
どんなオチになるか不安いっぱいでしたが、たこ焼きだけに丸く収まってよかった!よかった!!

-2013/08/20 update-