86杯目「隣人」
月末のクソ忙しい時に限ってATMを20分くらい使ってるババァってなんなの?
俺が知らないだけでYouTubeとかみれんの?
ほんとに迷惑なババアが世の中に溢れている訳ですが、
数年前に松原が今の家に引っ越ししたすぐの事。
仕事が急遽キャンセルになり、お昼過ぎに家に帰る事となった。
その日は日曜日なので家では子供が留守番をしている。
急遽訪れたお休みで驚かせようと思い、連絡せずに玄関のドアを開けてリビングに入ると…
全く見た事の無い婆さんがご飯を食べているでは無いか!
驚きの余り声を出して驚く!
「うわっ!な、なにしてはるんすか?」
不審を服にして来ている様な婆さんは振り返り「どうも。」と優しく微笑んでくる。
ちょwwどーゆーこと??
するとソファーに座っている松原ベイベーが「あ、パパ!おかえり!!仕事は??」と微笑んでくる。
この2種類の微笑みは漢字は一緒でも全く種類の異なる笑みであり、困惑を隠せない松原は見失った答えを宙に探す。
「い、いや。急にお休みになってん。」
「やったー!じゃー遊ぼー!」
「う、うん。…で。その前にこの人…だれ?」
「友達!」
あー、なんや!友達なんか!ビックリした~…
…って待て待てぇ!と、友達!?ウソつけ~!!
「友達ってそんな訳ないやろ!どーゆーことやねん!」
ようやく声に変わった怒りで子供に詰め寄る。
「さっき友達になってんな~?」
「そうなのよね。友達だもんね~」
肩が壊れるのを覚悟で全力で放ったボールをトスバッティングで軽々と打ち返した来た様にババアと子供がサラっと言い放つ。
いやいや、ちょっと待ってくれよ。
友達って年齢関係無いとか言うけど、こんな年齢差ある?
っていうかその前になんで勝手にメシ食ってるん?
俺んちやで!
「あなた、友達ってオカしくないですか?まだ7歳ですよ。この子。んでなに食べてるんですか?」
もう血が上った松原は戦闘態勢完了。
怒涛の質問の応酬!
するとババアは
「はぁ、翔ちゃんとはさっきお友達になったの。」
「え?今日初めて会ったんですか?」
「そうよ。」
「友達っておかしいでしょ!」
「こんな老いぼれと仲良くなってくれてほんとにいい子なの。」
「はぁ…でもなんで勝手に家に入ってるんですか?」
「ご飯をご馳走してくれるっていうから…」
「だから何食べてるんですか?」
「焼き魚よ。」
「ちゃうちゃう!その魚どーしたんやって聞いとんねん!
」「焼かせてもらいましたよ。」
「だから!!あああああああ!勝手に食べてるんおかしいでしょ?うちの冷蔵庫から出したんでしょ?」
「いや、翔ちゃんが食べていいよっていうから。」
「もー、いいです。とにかく出て行ってください。」
「そんなこと言わないで…わたしは身内のおらんくて一人暮らしで…そんなわたしに優しくしてくれる翔ちゃんともっとお話しをしたいだけなの」
じゃーせめてメシ食ってから来いよぉ!とは言えず段々可哀そうに見えてくるから不思議である。
ちょっとキツくいい過ぎたかな?と反省してしまうぐらい自分の心に変化が生まれる。
でも…やっぱりアヤシイ!!
「ま~、わかりましたからそれ食べて出て行って頂けますか?この後、子供と出かけますので。」
無言で俯く婆さん。
「やった!どっかいく?」
子供の最大の武器である“空気、読まない”を使いながら問いかけてくる我が息子。
「そうだよ。だから出かける準備して。」
「うん。おばあちゃんがご飯終わるの待ってから?」
「そ、そうだね。」
「じゃ~おばあちゃん早く食べて!終わってからパパと一緒にどっか行こ~」
って待て待て待てー!!
無邪気な笑顔の息子に突っ込むよりも早く、
「うれしいな~どこいこうか?」ババアsay
ゴラァァ!!!!いかん!いかんでー!3人でどっか行かんでー!絶対行かんでー!
ホンマ何考えとんねん。
「と、とにかく一緒にはいきませんから帰ってください!」
「はぁ…わかったから翔ちゃんには怒らないでやってね。やさしい子やから。」
ってなんで訳わからんババアに自分の息子をプレゼンされなあかんねん!知っとるわボケ!
そしてようやく追い出す事に成功し、
「知らない人を絶対に家に入れたらアカンで!誘拐されるかもしれへんねんで!」
とキツく息子に注意をし二度と無い様に散々怖がらせる。
しかし本当に恐ろしい事である。
そして翌日、「誘拐される!!入ってくるな!」と、玄関から近所に丸聞こえの大声で宅急便のおじさんを追い返す息子の叫び声で目覚める。
近所から白い眼で見られつつリビングに戻ると息子曰く“昨日から知ってる”ババアが今日はお茶を飲んでいた。
そのまた数日後、今度は別の子供とババアが歩いている姿を目撃…。
一刻も早く引っ越すべきだろうか…
-2012/01/28 update-