104杯目 「天候は大荒れ」

見た目は大人!頭脳は子供!松原の大人気コナンが…
失敬、コラムが今回も始まりました!

今回のコラムは息子くんの野球部恒例父兄参加山登りに参加したお話ですの。

片道2時間の神戸にそびえる再々山を登り、頂上で食事をして下山するという計5時間の長旅。
しかし1つ問題が…。

ご存知の通り松原の普段着は“よく喋るハイテンション破天荒ボーイ“な訳ですが、
この野球部の一番最初の集まりに何故かクールな感じで入ってしまった為、
松原は“口数の少ない気難しい父親”という余所行き一張羅着を羽織ってしまったのだ。

それからというもの年間を通して様々なイベントの中でも父兄同士の交流も無く、寂しく居心地の悪い時間を過ごしているのである。

という事はこの山登り5時間は野球部イベントの中でもハイレベルで長く、孤独との戦いになってしまうのだ。
しかし欠席する訳にも行かず挑戦するダブルで過酷な山登り。

「山の天候には気をつけろ」や「登山中は誰にでも挨拶をする!」など監督の退屈な山の心得を聞いて、
片道2時間ほぼ松原サイドの会話は無く、他の父兄は楽しく盛り上がりながら山を登る。
子供達に至っては付き合いたてのイタいアベックの如く、仲の良さを見せつけてくる。
松原もこうなったら血の通わないクールなキャラをより強固に作り上げる他無い。

そして長い道のりを経て頂上に到着する。

大自然の臭いが鼻先を撫でる素晴らしい場所で昼食が始まる。
さあ、ここからが勝負である。
子供は子供同士で、父兄は父兄同士で集まりお弁当を食べる。

だが松原は一人。

殺された方がマシな地獄タイム。
しかし自然だけは境界線なく誰しもを受け入れてくれる。

ごめんね、自然。
これからはエコを口癖にするね。

自然と和解した瞬間!一人のお父さんが声をかけてきた。
「松原さん、ビールあるけど飲みます?」
驚きのあまり教官に命令された教習生の如く大きな声で「はい!」と返答。
すると手招きをして松原を父兄の輪に入れてくれようとするでは無いか。

「騙されるな!」

心ではそう叫ぶが体は温もりを欲し、輪の中へ。
父兄の皆さんが温かく迎え入れてくれて松原は少し微笑む。
この微笑みは決して楽しい“笑み”ではなく雰囲気を和らげる為の“笑み”と自分に言い訳をする。

そしてプチ酒盛りの輪に身を置いていると、あるお母さんが喋りかけてきた。

「松原さんのコラム面白いね。」

…え?驚きの余り松原はくちびるの線を歪めた。

「え?どういう事ですか?」

震えながら聞き返すと
「いや、松原さんのライブハウスのHP見たらコラムがあったから読んでるんですよ。」

うわぁぁぁぁ!
脳内絶叫がこだます。

まさか…俺の破天荒な素顔を知ってるのか?
不安の蛇口が捻られ一気流れ出す恐怖に溺れる松原に確信という重りを彼らは投げ込んでくる。

「こないだのKissFMのラジオも聞いたけど上手に喋るねー!」「Twitterも面白いねー」

いやぁぁぁぁ!!!

お、お前ら!普段の俺のキャラを知ってて、クールな俺を隠れて嘲笑っていやがったのか!?
今から俺はどういうキャラに着替えればいいんだ!
もう、怒った!コ、コロシテヤル!チキショー!
お前らは俺の怒りの頂上に登り、キャラ作りの森に迷い込んで遭難するのだ!グヘヘヘ。。。
そしてこの言葉を登山の心得に追加しろ!
「山の破天荒にも気をつけろ!」

-2013/07/31 update-