116杯目 「足下を救われる」

どうも!兵庫県忙しい奴ランキング5位(推定)松原デス!
そんな松原は始発6時の新幹線で東京出張なんてザラ。
先日も4時ぐらいまで激しい打ち上げをして、ほぼ眠らず新神戸駅から新幹線にライドーン!

二日酔い…というかまだ完全に酔ってる状態で眠りの中に腰を下す。

片道約3時間、起きたら東京というワープ状態を想定し、品川駅到着時間にiPhoneのアラームを設定する素晴らしい周到さ。

打ち合わせの時間に間に合う為には寝過ごして東京駅まで行く訳には行かない。
なんとしても品川駅で降りなければいけない。
大事な打ち合わせなのだ。
だからこそこの3時間はしっかり眠らなければいけない。
快適な睡眠を取る為に靴を座席の下に置き、ビニールを床に轢いて足を伸ばし、リクライニングには恨みは無いが親の仇の様に力強く倒す。

この環境で出来る最大限の事をやり尽くし、ようやく重い瞼を閉じる。

そして数時間後。

パっと目を覚ますと新幹線はどこかの駅に停車していた。

体感睡眠時間は1時間程度、「まだ名古屋とかかな~」とiPhoneのアラームを止めて、また眠りに着く。
少しでも眠らないと仕事に影響があるのでこちらも必死である。
品川駅に着いたらアラームが鳴るのでそれま…

え…?

あれ?…
ア、アラーム!?

ちょ、さっきアラーム鳴ってたやん!?!?

光より早く瞼を開けて外を見ると冷酷な顔で「品川駅」の看板がこちらを見ている。

うわぁぁぁ!!!やばい!!

慌てて、カバンを持って座席を飛び跳ねる。
車内は出発のブザーが鳴り響き、必死で扉が閉まる寸前の新幹線から脱出に成功する。
九死に一生とはこの事である。
東京駅まで行ってしまったら打ち合わせの時刻に遅刻してしまう所だった。

やはり松原は運に恵まれている。

すっかり目が覚めた松原は駅のホームから改札口へ向かう。

が、そこで違和感を感じる。
この違和感は足元からだ。

慌てて見下ろすと、

なんと今!

松原は靴下しか履いていないでは無いか!?

あぁ!靴は新幹線の座席に下だ!

とんでもない失態…。

靴下だけでホームに佇む松原。
すぐさま靴下原は駅員に相談する事に。

「すみません、靴を新幹線の中に忘れてしまって…」
「く、靴!?」

もし松原が靴を履いた完全な状態であれば間違いなくJR東日本のこいつを蹴っているぐらいバカにしたリアクション。
しかし靴下野郎にそんな力も権利も無い。

「そうなんです。靴が無いと大変なので取りに行きたいのですが…」
「…そうですよね。では列車に確認しますので乗車券はお持ちですか?」
「はい。」

ポケットをまさぐるが乗車券は入っていない。

あれ?そ…そうだ!乗車券は窓の所に置いてたんだ!

「すみません、乗車券も忘れました。」

遂に駅員をおちょくってると思われてもしょうがない状況が完成する。

「乗車券もですか?」
駅員の顔はスケートリンクの上に靴下でいるぐらいの冷たさである。

「は、はい。すみません。」
「はぁ…では靴下で申し訳ないですが駅員室までご足労頂けますか?」

文字通り足元を見てきた駅員に案内され、駅員室内の全員の前で再度事情を説明させられる辱めを受ける。
そして靴下野郎にスリッパを恵んでもらい東京駅で松原の靴と乗車券を確保してもらう。
そして靴下からスリッパへ成長した松原は次の新幹線で東京駅まで向かい、遂に靴を取り戻したのだ。

もちろんこの後の打合せは遅刻し、気まずい思いをしたが、靴下姿でホームに佇んでいたあの辛さと比べると足下にも及ばない。
靴の大事さを痛感すると共にJR東日本がいなかったら今頃靴下のままである。
本当に今回は彼らに足元を救われましたね!

※【足元をすくわれる】意味:意表を突かれるさまなどを意味する表現。

-2014/09/11 update-