26杯目 「風次という男」

今月は「松原祭40連発」が開催されていますね。当然40日間休み無く呑み続ける松原な訳で…

しかしそんな打ち上げに松原の相棒が存在します。
知る人ぞ知る「風次」という人間が…
今回はそんな彼の生態について紐解いていこうと思う。

高校を中退してそのまま「ゴミ収集車」で働き、「ソーセージ工場」を経て打ち上げで松原と出会い、そのまま太陽と虎に引き吊り込まれた彼…

名前を聞いただけで身震いする人も多い彼だが、基本的に所謂「汚れ芸」を武器とし、嫌われたバンドは数知れず。

その分、気に入られたら凄いパイプで繋がる。
名前を知らない人は大体彼の事を「泡の人」とか「気持ち悪い人」と覚える。
この「泡の人」とは彼の得意とする洗剤を口に含み泡だてて“しゃぼん玉”を作ったり、
唾の粘液を使ってカニの様な泡を綺麗に作り出し周囲を怖がらせる一種の護衛行為である。

しかし基本的に身の危険が降りかからなくても簡単に行うので松原は一種のコミュニケーションツールだと捉えている。
この不思議な生き物「風次」は一応太陽と虎に勤務しており生態は不明。
名刺には「打ち上げスタッフ」と記載している。
よく名刺交換時に笑いが起こるが我々にとって自然な事なので理解し難い。
そんな彼は数え切れない珍事件を起こす。

最近では「電車宿泊事件」が記憶に新しい。
始発まで打ち上げで呑み、電車で帰った生息地・尼崎の彼。
ついつい寝てしまい起きたら尼崎を通りすぎて“京都”!
行き過ぎたのでまた下りの電車に乗り込み、また起きたらまた尼崎を通り過ぎて“明石”。
あわてて上りに乗り込み起きたら“大阪”
…そのまま数度の乗り過ごしを繰り返し出勤時刻の13時になり“三宮”で下車し出勤。
という新手の電車の使い方を提示。
また駅のホームで電車待ちのまま寝てしまい宿泊して出勤も多々ある。

 

主食・好物は主にお菓子の「ハッピーターン」を食し、鬼の対人恐怖症。

アルコールが入らないと人の目を見れないぐらい臆病なのだが、一旦酒が入ると凄い事件を起こす。
打ち上げ会場で寝てしまい居酒屋に閉じ込められた事も数度あり、人は環境に左右されず睡眠出来る事を実証。

その他にも
「ゲイを喜ばして5000円貰った事件」や
「ヤクザに間違えて絡んで土下座事件」や
「蝉を素足で踏んだ事件」や、
「西宮神社で福男を走りに行って勝手に福男を仕切り出して怒られた事件」(過去コラム参照)
など無限とある。

もう生きている事が事件である。
三宮から電車で30分ほどの「尼崎」に生息している彼だがなんといっても、その家が凄い。
とあるビルのテナントに住んでおり、ビルの裏にある非常口の螺旋階段から入る。
そのまま3階まで上り、窓ガラスを明けてビル内に入る。これは帰宅ではなく侵入である。

本当に自分の家なのか再度確認してしまう程、怪しい…
そして真っ暗な廊下を歩きベニヤ板で入り口を塞いでいるテナントの前に立ち止まり、
そのベニヤ板を手前に折り曲げてその隙間からテナントに体を捩じらせて入る風次…

「えっ!?ココ?」

思わず出した声が誰もいない廊下に響く…。
中はまるでドンキホーテ未満フリーマーケット売り場以上の物がごちゃごちゃと散乱する15坪ほどの敷地。
日常とあまりにもかけ離れた空間に呆然とした松原に「座れや。」と不自然にひかれた畳数畳の空間。
どこで拾ってきたか解らないマネキンやスーパーのセールの紙、ポール、備品の数々が松原の座る空間を圧迫させる。

日本の居住環境にはまだこんなに階級の差があることに驚愕し、逃げ出す様に自宅へ車を走らせた…

 

明治時代に身分解放令が執行され、士農工商穢多非人の無いこの世の中に、この劣悪な居住環境を目の当たりにした今、松原は少しぐらいのつらいことやしんどいことぐらい簡単に乗り越えれる強さを手に入れた。

-2006/08/05 update-