40杯目 「財布と相談する」
はっぴー。先日ちょっと仲良くなった女の子に酔っ払ってたので調子乗って
「こんにちワクワクメール」
ってタイトルでメールを送ったら 件名が
「Re:こんにちワクワクメール」
ってそのまま返信されて、その場で心臓をエグリ出したい衝動が襲ってきます…
他にも友人から来たメールのタイトルが
「Re:あけましておめでとう!」
…っていつのメール引用返信してんねんっ!
大体件名に[Re:]ってなんやねん!
でもメール続けてて
[Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:]
ってなった時に発生する“どっちが先に消すかの駆け引き”は白熱するね。
そんなメール社会に生き抜く松原ですが、たまにはブランド物の財布を買ってみようと思い立ち寄った百貨店SOGO。
我が街・三宮に聳える全国に誇る有名百貨店。
お目当てはたまたまネットで見て、一目惚れしたCOACHの長財布。
販売店の綺麗な女性が僕に気付き近づいて来る。
完全に獲物として認識した松原に近づき、綺麗な瞳で見つめられながら接客をされる。
「何かお探しの商品はございますでしょうか?」
「は、はい!長財布を探してて…」
「そうですね。こちらの商品などどうでしょうか?」
次々にいい値の付いた高級財布が視界に広がる。
まるでボディーガードの付いた金持ちの御令嬢の様に自信に満ちたフテこい表情に見える財布達。「財布だけどアンタより身分は上よ。」と言わんばかり。高級キャバクラ嬢をナンパしている感覚で、彼女達を吟味する。
「お色などのお好みはお分かりですか?」
先ほどの販売員が優しく微笑んでくる。
「は、はい。そうですね。黒が好きなんですが…」
「黒でしたらこちらもお勧めですが?」
ドンドン出てくる高級財布。
「この財布、凄くいいんですが、カード入れが少ないですね~」
簡単にお前の言う事を聞いて買う程、俺は甘くないアピールを忘れない松原。
「あと小銭の取りやすさも大事なんですよね~。」
とにかく何か言いたくて適当な事を言いながらその気に入った財布をポケットに入れ、鏡の前でコーディネートをチェックした瞬間…
販売員が慌てて松原に問いかける。
「あれ!?これ、プレゼントか何かでは無いんですか?」
「いや、僕のんですが…」
「嗚呼!も、申し訳ありません!当店女性物しか置いてないんですよ。」
うぉぉぉぉ~!!!なんやってん、この15分間っ!
めちゃくちゃ恥ずかしいやんけ!
なんやねん。さっきの俺の「甘くないアピール」ってなんやねん。
恥ずかしすぎて1秒でもここに居たくない!
80年代のアニメキャラクターが急いで移動する時に両足が宙で空回りするあの技法で、百貨店を脱出。
夕日の日差しが松原をあざ笑うかのように突き刺してくる。
こんな醜態を晒して、もうあの百貨店には入れない…
悔しい気持ちを一杯に事務所に戻ると店の電話が待ち構えていた様に鳴り出す。
「松原裕様でしょうか?こちらCOACH販売店○○と申しますが、先ほど当店で財布をご覧になられておられました方でいらっしゃいますよね?」
えええっ!事務所にまで電話して辱めを??どんだけ“S”やねんっ!
言葉が零れず唖然としていると
「あの~、先ほどお客様自身の財布を忘れて帰られたみたいで…」
うぉ!確かに購入予定の財布との相性を確認する為に自分の財布を取り出しショーケースの上に置いてた…
「こちら当店で今、預かっておりますが如何致しましょう?」
うわ、、取りに行くの恥ずかしい…
でも取りに行かないと… 嗚呼、どうしよう。。。
「…財布と相談します。」
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今日の件名:[おでかけですかRe:Re:Re:Re:Re:Re:]
-2007/10/05 update-