54杯目「M-1グランプリ出場」
さてみなさん。ぼくはライブハウスで働いているんだ。
でもね。この前、当店風次氏とM-1グランプリに出演したんだ。
テーブルの上にみかんがあったら食べちゃうよね?
そんな軽い感覚だったんだ。
だから一回もネタ合わせをしなかったんだ。
合わせようと思っても、仕事が終わった瞬間彼はもう逃げるようにそこにいなんだ。
そんな感じでついに翌日を迎え、
流石に焦った松原は強引にネタ合わせを決行したんだ。
でも相当疲労が溜っててついウッカリ寝てしまい目覚めた時にまた彼は居ない。
そのまま11時大阪集合なので松原は友人と一緒に向ったんだ。
が、電車の中でも寝てしまい起きたらまたその彼も居ない…。
完全に人が信用出来なくなったまま1回戦の舞台に到着。
しかし集合時間から1時間遅刻で到着してしまいキャンセル扱いになっていた。
「ちょっと!!来てます!出ます!」
慌てて交渉して何とか出演させてもらうことになるが出番まであと30分。
でも相方は居ない。
「あれ?相方さんは?」スタッフsay。
「いや、もうすぐ来ます。」
遅刻するわ、相方が居ないわで“やる気あんの?”的空気のまま出番10分前。
しかも今、明かすが風次氏はなんと携帯電話を持っていない。もう万事休す。
「相方さんはまだですか?」携帯も持っていない上にネタ合わせさえも来ない奴が本番に来る訳ないと、
覚悟を決め一人で出る事にした瞬間、同行した友人の叫び声が聞こえる!
「風次くんが来た!」
松原の脳内BGMはロッキーのテーマが流れ、
人間不信になっていた心はもう一度人を信じようと思うようになった。
そんな感動の再会は束の間、「早く並んで下さい!」のスタッフの声に遮られる。
列に並び、後数人で出番。
しかし我々はネタが無い。
M-1グランプリは相方が来たら勝ちでは無い。
漫才をして審査員を笑かさないといけない…
列に並びながらやっぱり怒りが満ち溢れ
「なんでお前10分前に来るねん」
「お前が起こさんからやん」と喧嘩が始まる。
「お前携帯ないやん」
「しらんやん」
「ってかどうするねん」
「俺に聞くなよ」
「どうすんねん。キャンセルするか?」
「お前が決めろや」
「お前、俺のせいにする気やろ?」
出番直前でも小っちゃい意地の張り合いを繰り返す。
「ほんまはキャンセルしたいんやろ?」
「おまえが決めろや!」
~それでは松風の登場です!~
「ってかもう出番やんけ」
「このまま行くぞ」
「偉そうに言うなよ」
という訳で即興漫才!
ステージの上でさっきの喧嘩をしていたら爆笑…!
審査員が「もう決まりだね」と小声で話す声も聞こえる。
そうである!
なんと1回線突破で2回戦に駒を進めることになる。
2回戦の対バン、もとい!
対マンは藤崎マーケット、千鳥、とろサーモンなどプロ登場だ。
しかし結局またネタ合わせしないまま2回戦。
次は松原が大遅刻で風次氏は3時間一人っきりで松原到着時には寂しさで心が折れまくりでウィスキーを2本空けていた。
もう正常に喋れない状態。
しかし我々は2回戦を終え気付いた。
「お笑いに1位も2位も無い!そんな順位を決めるから争ういが起きるんだ!」
この大会が間違っている事に気付き、颯爽と神戸へ帰る2人。
表現者を守る平和な日本にすべく我々は優勝という1000万円を捨てる決意が出来た。これでいいんだ。
大会から惜しまられるだろうが次の答えがハッキリした。
R-1グランプリ頑張ります!
-2008/12/05 update-