96杯目「空き巣は家族の絆さえも…」

ドモホルンリクルの丹精込めて一滴、一滴をじっと見届けている奴の給料が気になって仕方ない松原の傑作コラムの時間ですよ。

ホント世の中には色んな仕事がありますね。
そんな仕事の話で、ふと思い出したのは同級生の関(仮名)。
放課後一緒に下校し、彼の家に遊びに行った話なのだが、彼の家に着くと何か異変に気付く。

なんと!窓ガラスが割られているのだ。

えええ!?驚いた関(仮名)は玄関の鍵を開けて家の中に駆け込む。
こ、これは…。

敏感な松原の鼻先を事件の匂いがなでる。
そうなのだ。
なんと空き巣に入られていたのだ!

人生初めての空き巣。
頭では警察に電話をしなければと分かっているが中々体が動き出さない。
時間にしたら数秒なのだろうが長い時間2人で立ちすくんていた様な気がする。
とにかく震える手で受話器を持つ関(仮名)は、「1・1・0」とお経を唱えるように発しながらダイヤルを回す。
ほどなくして駆けつけてきたのは警官2人と婦警1人。
普段街ですれ違っているはずの警察官なのに、なぜか新鮮に見えて躍動する。
早速警官は慣れた作業の様に部屋を見渡し、「何か無くなっているものは解る?」say。
関(仮名)もテンパってしまっているので、まだそこまで気が回っていない。
それに察した婦警は優しく彼の元に近づき、一緒に確認しようと告げる。荒らされたリビング。
タンスも理想的な荒され方をしている。無くなっているものを確認していく婦警と関(仮名)。
その間に警官は両親や各所に連絡をしていっているようだ。
松原もご両親が帰ってくるまで一緒に居てあげて欲しいとの事。
松原が居る事で少しでも関(仮名)の気が休まるならと思い一緒に部屋を見て回る。

そして関(仮名)の部屋に到着。

するとクローゼットの中のものが全て放り出されていた。
それを見た瞬間!関が慌てて走り出した。
その方向に、なんと!!

大量のエロビデオとエロ本、そして自慰行為に使うローション付き某ホールが転がっているでは無いかっ!?

さっきまで傷心していた関(仮名)は別人の様に気炎をあげている。

「うぉぉぉ!!」

思わず声が出ている事さえ気が付いていないようだ。
必至にその卑猥なブツを隠そうとした瞬間!
婦警が叫ぶ!
「触らないで!現場はそのままにしてて!」

いくら職務だとしても彼女には人の心が無いのか?
これはとんでも無い事である。
ご両親も帰ってきて、追加でまた数人の警官も参戦。
関(仮名)の部屋を全員でエロビデの表紙のAV壌と目が合いながら残酷な現場検証。
こんな羞恥プレイは聞いた事が無い。
関(仮名)の目はもうバタフライで泳いでいる。
人が簡単に自殺出来るのなら関(仮名)はきっともう楽になっているだろう。
婦警も警官も何も言う事なく関(仮名)の部屋を調べている。
いっその事、「お前、エッチだな~!」とイジってもらえたらどんなに楽だろう。

そして全ての部屋を調べ終えた警官は帰り際に
「たぶん犯人は捕まらないと思います。」say。
とんでもない仕事をした警官。
犯人を捕まえないんじゃドモホルンリクルの丹精込めて一滴、一滴をじっと見届けている奴と変わらないじゃないか…。
完全に二次災害の関(仮名)。
それ以来、関家は空き巣対策で戸締りを厳重に行う様になった。
と同時にトラウマが出来た関(仮名)も両親の前で笑う事を忘れ、
彼の心の扉も硬く閉ざされてしまったのだった…。

-2012/11/01 update-