コラム「人生打ち上げかけつけ」

松原裕 コラム

2005年より13年間1ヶ月も休まずに連載を続けている太陽と虎代表 松原裕のマンスリーコラム。

人生とは打ち上げのように激しく乱れて華やかに散る。
ならばかけつけイッキで酔ったもの勝ち。

そんな日々起こる不可思議で愉快な体験を綴る太陽と虎マンスリーコラムスケジュール誌に連載中のかけつけコラムWEB版。

笑いをアテに何杯でもイッキしてください。

※本コラムは本人が「がん」を理由に2016年10月を持って休載しておりますが、「絶対休む機会を探していて「がん」になって「よっしゃ!これや!」と思ったに違いない。」「連載が始まって13年間140話以上書き続けてネタ切れになったんじゃないですかね?」関係者談。
「そ、そんなわけないやん!ネタが溢れて溺れそうやわ!ただ体調が…。」本人談。

という事で2016年10月より、体調が良い時にWEB版のみ更新する不定期連載になりましたので、テレビの裏面を掃除するぐらいの頻度でこのページも覗いてくださいね。

93杯目「神への冒涜」

先日、あるバンドのDVD特典映像の企画ロケに行ってきました。
この企画とは京都の銀閣寺と金閣寺を回るというツアー。
CDの購入者から応募を募り当選した5人&バンドメンバーと回る京都小旅行。
普通に回るだけでは面白くないという事で修学旅行という安直な設定で挑む不安要素いっぱいの収録。
カメラ数台も同行して、ちょっとTVロケ気分。
もちろん松原は引率先生のキャラに扮し、厳しく5人の生徒の安全かつ思い出の1ページ作りの為に励む。
しかし当然ここには修学旅行の醍醐味と言っても過言では無いキャラクターが不足している。
そう!バスガイドである。本物のバスガイド?

ばか!

そんなのは期待してるけど期待してない!
もちろんここは松原の強い要望でとあるライブハウスの店長Y氏(36歳)に女装して頂きバスガイドを演じて頂く事になる。
松原は新任教師ばりに張切って当日の朝早く京都のドンキホーテに到着。
バスガイドのコスプレ衣装を1mmの照れも無く購入。
Y氏に素早く着替えさせる。もうこれで90%は成功に達した。

と思った瞬間!メンバーの1人が諸事情により同行出来ないと入電…。

設定ではメンバー全員と謳っている。

当選者からのクレームがあるかもしれない。

悩んだ松原はドンキに売っているウーパールーパーを購入し、魔法にかけられた設定を作り出す!
これで誰も文句はあるまい。
もし自分の進む道に壁が現れたのなら、それは登る為のもの。
その登った壁の上から見える景色は辿った道もこれから進むべき道も一望出来る。

それを知っている松原だからこそ諦めなかった結果と言えるかもしれない。

そしていよいよ集合時間。
京都駅の人混みの中、改札口で大きな看板を持って可愛い生徒を待つ松原とバスガイド(男)は観光地である京都だからこそ目立つこと無く設定に打ち込める。
そして生徒を乗せて早速銀閣寺に。
ここからが勝負。
普通に回っても面白くないのでバスガイドのおしりを触ってセクハラ教師コントは当然の事として行う。
リアル修学旅行学生の前でも卑猥なコントを見せつける。
もうここまでくると本物の先生に怒られたい欲求が体を充満する。。
その気持ちを神様が察したのか突然勢いよく呼び止められる。

振り向くと警備員。

「撮影許可は申請してるのか?」警備員say。
「いや、これはプライベートの撮影なので…」
「TVなどで放映する場合は許可がいるから止めるように。」警備員say。
さすが銀閣寺。

「しっかりしてるぜ」と感心しながら無事回り終わる。
そして遂にやってきました!国宝・金閣寺。

平日の昼間を忘れさせるほどの観光客。
松原は入口の前で修学旅行コントを敢行。
観光客にも笑いを誘う。
ウケた所で調子に乗って意気揚々と金閣寺に入ろうとした瞬間!

「待て!」

警備員と金閣寺の人が続々と現れる。
そして手を引かれて奥の何か変な部屋へと連れていかれる…
まじ?なにごと?部屋の中に入ると超エラいさん風の住職っぽい人が凄い形相で松原とバスガイドを睨み付け気炎を揚げる。

「お前たちは何をしにきた?」開口一番感じ悪い。
「いや、修学旅行の設定で観光にしきたんですが…」
「設定??お前たちはここをどこなのか知ってるのか?世界遺産を理解してるのか?」
ここから説教が延々と続く…。
もう限界の松原は噛みついてしまう。

「もちろんこっちが悪いのかもしれないけどそんな怖い言い方せんでもいいじゃないですか!ボクたちの何がいけないんですか」
「その恰好が駄目だ!」
ここでお寺の鐘か試合のゴングの様に鳴り響き、松原と住職の攻防戦が炸裂!
「じゃー、このバスガイドがあかんのすか?」
「そうだ!!」
「え?バスガイドいっぱい中にいるじゃないですか!」
「違う!そいつは男だろ!なんだ、そのスカートは!」
「そんな趣味の人が居てもいいんじゃないですか!」
「女装がいかんのだ!」
「だから女装の何があかんのすか!差別だ!」

生涯で女装をここまで援護する事はもう無いであろう。
だからこそこの貴重な経験を全力で挑まなければいけない。
すると住職の必殺攻撃が襲ってくる。

「これは神への冒涜だ!絶対にこのままじゃ中に入れささん!」

ぼ、ぼうとく???!
「じゃー女装があかんのやったらこのカツラを脱げばいいんですか?脱いだら入っていいんですか?」

敵の揚足取りは勝利への定石。

すると

「そうだ!カツラを脱げ!」

ってえええ!?
カツラがあかんかったん?

すぐにカツラを脱ぐと、Y氏はなんと坊主(ハゲ)。カツラを取ったY氏は男丸出しの坊主で服はバスガイド姿。
完全に余計おかしくなっている。
横にいた巫女さんも笑みを零す滑稽な状態。
しかし住職ももう論点がズレてきているので「これなら入っていい。」と回答。
まさかのハゲが女装した格好で金閣寺を回る事になる。
周囲は先ほどより強く視線を浴びせてくる。
もう何の集まりなのかわからない状態に…。
こっちの方が神への冒涜では無いのか?
そして、このハゲのバスガイド姿を笑う観光者はへの冒涜では無いのか?
このバスガイドに髪のご加護を!

(*この映像はこちらのDVDに収録されています。)

92杯目「歌詞作りの極秘」

先日命がけのイベントが終わって夜空を見上げながら涙ぐんでたら職質されちゃったよ。 はい!松原デス。

って事で日常の生活に戻り毎日ライブハウスにいる訳ですが、 ここまで毎日ライブを見ているとライブというものが常識になっている訳です。 これはしょうがない事なんですが、やっぱ常識をブチ壊したくてこの仕事してる訳で何だか刺激鈍感になってる気がします。

で、いつも思うのがライブ中のMC!

「最後まで楽しんで帰って下さい!」

とかもう5万回ほど聞いている訳で、見た事あるMCや聞いたことあるMCはもうゲップが出ちゃう訳です。

歌詞もそう。

やっぱ定番の歌詞ってのがあって、みんなが一度でも聞いた事のある歌詞とかってあるでしょ? 実際日本の歌詞って「翼広げ過ぎ」だし「君の名を呼び過ぎ」だし 「光が射す方へ行き過ぎ」「もう一人じゃなさすぎ」「あの頃僕達は不器用過ぎ」 「瞳閉じ過ぎ」「見えないもの見過ぎ」「何かが変わるような気がし過ぎ」「君の名前を呼び過ぎ」 「涙の数だけ強くなり過ぎ」「追いかけても掴めない物あり過ぎ」「繋いだ手離さな過ぎ」「季節巡り過ぎ」ですよね?

もう挙げだしたら切りが無い訳で誰しもが聞いた事あるようなフレーズですね。

という事で忙しい松原はアーティストのみなさんの為に実際この上記で挙げた様な歌詞が 一体何曲ぐらいで使われているのか12万曲の歌詞が登録されている歌詞サイトの「歌詞全文検索」に “ありがちなフレーズ”を入れて実際にどれくらいヒットするのかを実験してみましょう。

とりあえず一番多いと思う 「会いた(い・かった等)」を検索!

なんと5921曲!!凄い! これは20曲に1曲の割合です。 どんだけみんな会いたいねん! 何で会いに行かんの?

じゃー念のため「会おう」で検索すると472曲!

シャイすぎるわ!もっと誘えよ!

じゃー結果を出した「会った」を検索すると3038曲!

おめでとう!! なんや日本人も積極的な奴おるんや! コレは楽しくなってきた!なので松原はドンドン検索をしてみる。

続いて「光が射す方へ」を検索!驚きの7曲。 これは意外。日本の歌詞にはなかなか光は射して来ないようである。 音楽不況がこの要因を担っているのか?

ちなみに「松原」→31曲なので光が射すより松原の方が多いようです。(喜)

続いて「ひとりじゃない」を検索!

680曲が該当!これは中々の数字である。 この世の中でひとりじゃなくなった人が沢山いるという事である。 最愛の人や親友を見つけ1人じゃなくなったのだ。

ちなみに国民性調査で有名な日本統計数学研究所のリサーチの中で 「あなたにとって一番大切なもの」は“家族”が46%と最も多く、その割合も過去最高となっている。

この日本が直面している少子化問題に明るい光が射していきそうであるが 歌詞の中では「家族」931曲なのでやはり音楽の世界はまだこれからの様である。

「翼(を)広げ」→ジャスト450曲

翼を持ってないくせにめちゃ広げたがりますね。

「空の下」→217曲

しかし「空の上 (中)」だと298曲なので空の下にいるという感覚よりやはり翼を広げて空を飛ぼうとしている奴が多いようですね。 危ないね。

「明日に向か(向かって、向かいたい等)」→208曲

暗いニュースが多い中、前向きな人も けっこういるみたい。 という事はもしかしてと思い「嫌われたかも」を検索!まさかの1曲 。

前向きすぎるわ!もっと不安になれ!バカ! 自分に限って大丈夫って思いすぎ。 これは深刻な問題です。 これが最も交通事故を引き起こす要因である。 もっと歌詞に「嫌われたかも」を起用していき事故を撲滅させていきたいですね。 今こそ音楽の力の凄さを証明するチャンスですよ! さて、そろそろデカい数字を当てたいので単語で検索。

「恋」→28751曲 「愛」→47866曲 「LOVE」→13999曲 「夢」→48670曲

このあたりは定番なので凄い数です。 しかし驚いたのは

「眠れぬ夜or眠れない夜」→1099曲。

日本人は不眠症多すぎ! ってかこの検索楽しすぎてこっちが眠れないわ! ホンマにオモシロい結果が多数発覚。 そしてこの歌詞サイトを使って簡単に日本人の国民性が解ってしまうのだ。 ユーザが知りたい歌詞を掲載しただけなのにこんな使い方があるとは驚きである。 是非国民性を調査している日本統計数学研究所も活用頂きたいですね。 そしてよく聞く歌詞の逆の歌詞こそが我々エンターテイナーの追及する非日常なのでは無いでしょうか? 「眠れぬ夜」が多いなら「起きぬ朝」で検索するとやはり0曲! よっしゃーー!勝った! 是非本コラムを読まれているバンドマンのみなさんもこの様にして斬新な歌詞を書いていってもらいたいですね!

(全員無視)→0曲!!!

91杯目「犯人は誰?」

  コンビニでお弁当を温めてもらっている間はもちろん後ろに並んでいる人に
『あそこで温めてる弁当俺のなんすよww』
って自慢するぐらい温もりが大好きな松原のコラムが春の足音と共に今月もやって参りました!(ネットより抜粋)

っつーことで最近やたら日帰り東京出張が頻発している先日の出来事。
ほぼ最終に近い便で新神戸に到着。
睡眠不足が手伝って新幹線の中は爆睡。
完全に寝ぼけたまま新神戸駅に降り立ち、頭がボーっとする中でフラフラ歩きながら改札に向かう。

一番最後に新幹線を出て、しかもゆっくり歩いているのでホームには人がほとんどいない。
しかし男性3人組が松原と同じぐらい、いや、もっとゆっくりのペースで寄り添って歩いている。

「気持ち悪いな…」

と思いつつ、まだ頭が働いていない松原はその3人組の後ろを歩く。

するとその3人組の1人が松原に気付き、また歩を緩める…。
「ん?」
何故かムっとした気持ちになり、そこからはどっちがゆっくり歩くか勝負が始まってしまう。
長いホームでの緊迫した勝負。互いに意識しているがしていないフリでゆっくり歩くハイレベルな試合。

だが、すぐにどっちでもよくなり、松原がその3人組を改札の直前で追い抜く事になる。

この戦いなどまったく気にした素振りを見せない見慣れた新神戸駅。
行きの新神戸と違うのは改札の横の喫茶店の灯りが消え、「close」の看板がぶら下がってるぐらいである。。
そしていつも通り、改札をくぐろうとした瞬間!

目の前に所狭しとカメラを持った報道陣が改札の前に立ちはだかっているでは無いか!

まるでゴール近くのフリーキックに備える相手チームの選手の様に。
「こ、これは何事だっ!?!?」
そんな疑問の前に寝ぼけたままの松原は今日の一日の行動に何か非社会的な行動が無かったか振り返ってしまう。
が、今日に関しては新聞に載る様な非社会的行動は取っていない!
もしくは「自分は売れてしまったのか?」なんて事も一瞬だけ考えてしまうナルシストさにセルフドン引き。
しかし記者は松原が改札をくぐるとほぼ同時にグッと歩を進める。
「や、やっぱり俺なのか?」
少し狼狽えながら、でも「俺の訳がない!」
確証の無い自信が松原の背中を押す。

そして記者の前まで来ると明らかに手前の松原では無く、
その奥の何かをパシャパシャと撮影しだす。

「え!?」
後ろに何が!?

…ドキドキしながら振り返ると!
さっきの3人組を報道陣が猛烈に激写しているでは無いか!?

えええ!?さっきの奴、誰なーん??

ゆっくり歩く競技の有名なやつぅ?
とにかくこの混乱を落ち着かせるために3人組を初めて正面から確認する。
3人共おっさんで険しい表情。真ん中の奴の手には手錠。
至って普通の3人。何が珍しくて写真を撮っ… て、

手錠!?!?!?!

え?うわっ!やっぱ手錠やんっ!?

って事は何かの犯人を護送している私服警官??
初めて見る光景に戸惑っていると手錠をかけられた男が両サイドのおっさんに連れられて改札をゆっくりと通り抜けてくる。
自分の半径2m以内で体験した光景の中でも最上級に刺激的な光景である。
刺激的すぎて松原はその記者の輪の中に入ってiPhoneで撮影に参加。
自分でも説明出来ないが撮れるだけ撮らなければと焦り、シャッターを連打。
さっきまで謎の勝負をしていた3人組を追いかける。
そして遂に3人組が構内から外へ出てしまう。これでもう撮影が終わるのか…、

そう諦めかけた瞬間、私服警官が護送用の車の場所が分からなかったみたいでまた構内に戻ってきたのだ!
そして可愛そうにこの犯人は新神戸駅をぐるぐると回遊し、
まるでファッションショーの様に我々に絶好のアングルを選ばせてくれる。
松原は記者に負けじと撮り続ける。
というか記者達も絶対もう充分のはずなのにまだ撮影を続ける。
だって一向に護送されない犯人を置いて帰るのは犯人に失礼である。
これは護送されるまで撮り続けるのがマナーであり、自分との勝負である。カ
メラを持った全員がそう考えているに違いない。10分ほど撮影しただろうか。
ようやく護送車がやってきて連れられていく犯人。遂
に勝負に勝った!言葉に出来ない充実感が新神戸に広がる。

そしてようやく会社に戻り、どんな犯人なのかすぐにネットで検索。
しかし何もヒットしない。翌日も朝からTVや新聞をチェックしても全く出て来ない。
彼は一体何で捕まったのだろうか?結局、今もあの犯人がなんだったか分からないまま。
もしかして報道陣はこの情報を温めている最中なのだろうか?
だとしたら、温もりが大好きなくせに温めきれず、すぐにコラムに書いてしまった松原は負けてしまった事になる。
っていうか松原の負けでいいからホンマ、教えてください。
あいつ誰やったん?

 

90杯目「高校時代」

先日深夜友達2人と呑んだ帰りにファミレスに行ったんだけど混んでたから名前書いてもらって待ってた。
暫くして「三名様でお待ちの・・・フ、フリーザ様??」
って呼ばれて小声で
「こういうの書く奴必ずいるよな」って言ったら、
友達がいきなり「さぁ!行きますよ!ザーボンさん、ドドリアさん!!」って立ち上がったよ。は~い。春の足音と一緒にやってきました松原大人気コラムももう90話目。
もうさすがに昔の面白い話も下ネタ系と警察沙汰系のコラムに書けない話しか残ってないYO!
って事で本日は90話目を記念して学生時代にコラムにしては短いショートネタ特集だよ。
それではハリキッテ行きますよ!ザーボンさん!

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【引っ越ししたい】
高校3年生にもなると友達と休みの日にお酒を買って部屋のみが流行りだした。
ワイン,日本酒など初めて挑戦するお酒に学生の友人と「え?お前、ワイン飲んだ事無いの?ダサー」みたいな会話でムキになる。

そんなある日、友人の家で明日、部屋呑みをする事が決まった金曜日の放課後。
帰り道に友達が「松原ってワカメ酒飲んだ事ある?」って聞かれ心臓が飛び出しそうになる。

(-_ー +)oOO(そ、そんな酒、飲んだ事無い。。)

もちろん見栄っ張りな松原は「もちろん!」と答えると友人は
「じゃー明日持って来てや!」と挑発。

腹立った松原は帰宅するなり近所の酒屋に出向き「ワカメ酒置いてますか?」
と元気よく尋ねるも酒屋の店員に「…置いてないんです。」と言われる。
足を伸ばしてスーパーで再度探してみてもドコにもない。
店員にも「置いてません」とキッパリ言われた。
他にもいくつかまわってみたけど結果は同じ。
最寄のコンビニにも行き女性店員に尋ねると「うちでは扱ってません!」と半ギレで応対される。
しょうがないので翌日、ワカメ酒なんて忘れてたのテンションで友人の自宅に行くと何も突っ込んでこない。

そしてそれから数ヶ月してアダルトビデオを見て真実を知った。
翌朝、真剣に両親に理由を告げず引っ越しを頼んだ。親はとても心配していた。
翌日、担任の先生に呼び出され「お前、学校でイジめられてないか?」と真剣に聞かれた。
両親が心配して学校に電話したのだろう。もうワケワカメ。
 
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【高校最後の買い食い】
松原が通っていた高校の最寄駅「西鈴蘭台駅」に1本100円の最高に美味しい焼き鳥屋があった。
店内で食べれる焼鳥屋なんだが学生の帰り道をターゲットにしてカウンターで1本単位で焼鳥を買える様になっている。
焼鳥好きの松原は、ほぼ毎日帰って立ち食いをしていた。
しかし人見知りの松原は一度も大将と会話はした事が無い。
そして3年間が経ち、卒業式の帰り道にこの焼鳥屋に寄った。
そして焼き鳥を1本頼み焼いてもらっている間にこの時間もこれで最後だと思うと感慨深くなり大将に初めて喋りかけた。
「ボク、今日で卒業なんです。」
すると大将は焼鳥を焼きながら
「…またいつでも食いに来いよ」と無愛想に答える。
それが本当に嬉しくて泣きそうになる。
大人になったら絶対に呑みに来ようと心に決める。
するとそんな松原の顔をチラ見してから
「高校最後の買い食いだ。もう1本食べれるな?」
大将say。
涙ぐむ松原は頑張って「はい!」と答える。
何気なく通ったこの焼鳥屋。一生の宝物だと思う。
涙を拭い、大将が差し出す焼鳥2本を受け取り、大将の手に100円を渡す。
しかし大将は100円を受け取った手を戻さない。
不思議に思い大将の顔を見ると松原にこう告げた。
「200円やで」
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【初めて原付免許を取った夜】
高校2年のすごく寒い夜だったのを覚えてる。
深夜2時ごろ初めて原付バイクの免許を取って嬉しくて一人でドライブをしてた。
暗い地元の街で唯一の明かりが灯すコンビニ。
前を通ると何故か無性に肉まんが食べたくなった。
店内に入り、店員に「肉まんください」と頼んだ。
店員は普通に「はい」と答える。
でも何かおかしい感じがした。
それは高校生の自分がこんな時間にコンビニにいる事への大人の階段を上った感覚だと思った。
なので気にせず店員に渡された肉まんを買って家路に戻った。
吐く息が白くなるのをそのときは何故だか楽しくってわざと「ハァ~っ」なんてやりながら家に戻った。
早速紙袋に入ったほかほかの肉まんを食べようと白くて丸いそのあったかい物体を取り出した。
大きな口をあけて頬張る
「パクッ!」・・!
あのときの何かおかしな感覚・・俺は正しかった。
なんと!!店員は肉まんと間違えてあんまんを入れていたのだ!
でも大人の階段を上った俺は店員を憎まん。

89杯目「神の伝説」

学生のころマックでアルバイトしてたときの事。
松原はドライブスルー担当で、その日は日曜。

次から次へとやってくる客の対応に追われ、目の回る忙しさだった。
あまりの忙しさにあせってしまって、

「いらっしゃいませコンニチハ。マイクに向かってご注文をどうぞ!」

って言うとこを、

「いらっしゃいませコンニチハ。マイクに向かってコンニチハ!!」say。

全身から汗がふきでた。
モニターの向こうのドライバーも、

「こ、こんにちは…」
とか言ってるし…

それ以来、客でドライブスルーに行ってもトラウマが蘇り、上手く注文をする事が出来ない。
誰しもが抱えるアルバイト時代の悪しき思い出はユーカリを登るコアラの様に強くしがみついてくる。

もう1つ松原を苦しめる思い出。

それはダイエー○○店で行っていたアルバイトの時。
2年ぐらい働き、マネージャーにも気に入られていてアルバイトなのに発注まで任されるクラスに昇格。
発注と言ってもストックのない商品をチェックして発注するレベルだったが、
それでもやはりやりがいを感じ、高校2年の冬休みは全てダイエーのアルバイトに費やした程だ。

そんな矢先に重大なミスを起こす。

明日から特売予定のネピアトイレットペーパーの在庫が少なくなっていた。

もちろんいち早くそれに気づいた松原は普段は20個ぐらいの発注なのだが
特売という事もあって100個発注する事にした。

しかし!

前日夜更かしをしてしまい睡魔と綱引き状態だった松原はうっかりなんと!
間違って1000個発注してしまう。

翌日、ストックに届く、見た事の無い数のトイレットペーパー。
背筋が凍る。マネージャーも驚愕。
しかし今日はたまたまフロア主任が休みの日。
マネージャーが落ち込む松原を励ます。

「くよくよしてもしょうがないじゃないか!頑張って1000個売ろうよ!」

驚愕のボジティブシンキングであり、考えた事も無かった1000個のトイレットペーパー。
常識的に考えて、今日たまたまわが町の住民全てが快便だとは考え難い。
しかし売るしかないので必死に朝の開店から閉店までフルに働き(確かMAXで働く時間が定められていて、その時間からは時給の発生しない労働)奇跡の800個近いトイレットペーパーを販売した。
もちろんあの手、この手を使って販売した。最後は泣き落としもしまくった。
配送代は松原負担で交渉してケースで買ってくれた心優しいおばさんまで登場した。
この販売個数はダイエー史上記録した事の無い数字の様でマネージャーも大喜びしていた。
そして翌日フロア主任が出勤して来て、この数字を目にする。

驚きのあまりマネージャーに問い合わせる。

するとマネージャーは松原の為だと思い、
「この発注は松原が行ったんですが、彼は鋭い販売の嗅覚があるようです。まさか800個も販売するとは…」
と言い放ったのだ。

もちろん松原の株は上がり、次に売れる商品は何か?と聞かれるようになった。

「違うんです!間違えて発注したんです!」とは言えず、
主任に次の特売商品を選ぶ相談を受ける様になる。

それが何故かある程度当たってしまう。
というか最初の1000個の発注がミスだとバレるのが怖くて自分で決めた数の特売商品を必死に売り続けただけである。
しかしこの記録的な販売は嘘の上塗りの様に続き、遂に最初にトイレットペーパーを当てた事から松原は
ペーパーレジェンド(神の伝説)いうあだ名まで付くぐらいチヤホヤされる存在となる。

そしてその付けられたアダ名が文字通りアダとなる日がやってくる。
明日は遂に恐れていた例のネピアトイレットペーパーが特売商品。
発注数を聞かれ「300ぐらいですね!」と答えると主任が
「前回800売ったのに気が小さい事、言うなよ」とけしかけられる。

気の大きくなっていた神の子・松原は
「そうっすね!900はいけますね!」
と答えてしまう。

でもその時は売れる気がしたのだ。

しかし案の定、今日の我が町の住民は全員見事に便秘だった様で大量に売れ残り、
主任から大目玉を喰らう。

ストックに大量に積まれたいつぞやの光景。

トイレットペーパーなのに水に流してもらえなかったトラウマは今も便所に入る度、
フラッシュバックして松原を苦しめる…。

88杯目「振込詐欺」

な、なんと子供に大人気ドラゴンボール悟空とジョジョの奇妙な冒険のジョジョが詐欺を行った!

新聞の見出しはもちろん「オラオラ詐欺」

はい!ちょっとクスっとしたね。
悲惨な掴みネタから始まった大人気松原コラムですが、これに訳があるの。
みなさんはもう経験済でしょうか?

遂に我が家にも「振り込め詐欺」がかかってきました~。
松原もようやく一人前だと認めてもらったようで本当に嬉しい限り。

しかもこのコラムの締切前日にかかってきたこの電話。
普段、なんの信仰も無いのに「神様ありがとう!」状態デス。

そんなとある昼下がり。

息子君が風邪で学校を休んでいて、リビングでお昼ご飯を食べている時でした。
家の電話が鳴り、息子が電話に出た。

すると「パパがいる… うん。お母さんはいない。なんて?…いまはパパだけ。…いや、そう。」
などと細切れに答えている。

さすがに疑問に思い、そばに寄ると不安げな顔のまま無言で受話器を渡す息子。
少し緊張しながら「お電話変わりました」と告げるなり、
受話器から言葉がこぼれ落ちる声量でとんでもなく訛った女性がまくし立ててくる。

「あんた、○○さん(女性のフルネーム)の借りてた家の事で話し聞いとる?」
(実際は訛っていたのでこんな言葉では無いが松原が多分こう言ってるだろうと通訳した言葉でお送りします。)

「え?なんのことですか?」

いきなりの訛り言葉と意味不明な内容にドキドキしながら反射的に問い返す。

「いや、だから、あんた○○さんの親戚だろ?奥さんから聞いてないか?」
「いや、ボクは結婚していませんが…」
「あー、なんだ。これはあんたのお母さんなんか?家にいるか?」
「いや、今はいませんけど。。で、母が何か?」
「なら、あんたでええわ!お母さんには話とったんだが,今日までに振り込んでもらうお金がまだ入ってないだ。」

少しだけだが訛りに慣れ、話の輪郭が浮かび上がってくる。

そして半信半疑だが“振込み”というキーワードに少し興奮する。

こ、これは!
どうやら夢にまで見た振り込め詐欺では無いのか?

胸の高鳴りを押さえつつ、問いかける。

「どういう事ですか?」

きっとここまでの松原は振り込め詐欺師(仮定)の絵図通りの模範回答に違いない。

「私、あんたの親戚の○○さんの大屋なんや。で、先月死体で発見されて家賃が数ヶ月滞納しとるんや。
んで滞納分とその死体処理とかのお金の振込が無くて、数日前から市の人間があんたのお母さんに電話しとったんや。」

“死”と“市”が話の信憑性に一役を買う。

“ホンマやったらヤバいな”vs“んな訳あるかい!”の脳内バトル。

確実に“んな訳あるかい!”がリードしているが勝者が決まるにはまだ時間がかかりそうである。

とりあえず質問を続ける。

「そ、そうなんですか?でも何も聞いてなくて…で、今日払わないとどうなるんですか?」

この質問はどうやら振り込め詐欺(仮定)が待ち望んでいた右ストレートパンチだったようで、
喰い気味にカウンターパンチが出る。

「どーなるんちゃうわ!アホ!」
アニメであれば確実に立体文字で表現される程の怒鳴り声でキレてくる。

「今日、金が入ってなかったら告発する事になっとんや!市からも連絡行ってるやろが!裁判所から差し押さ行くぞ!」

実際の電話のテンションは凄まじく、信じてしまう気持ちも良くわかる。

というか現に“んな訳あるかい!”の足元がグラつき、ここで思わず
「すみません!すぐ振り込みます!おいくらですか?」と答えてしまう。

「100万円や!今すぐ振り込んでこい!」

100万円キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

この小学生がよく使うスゴイ金額代表の“100万円”に我に返り、
ここからおちょくる事に軌道修正する。

「解りました。すぐに振り込みます。ちなみにお宅さんはどこの出身なんですか?」
「宮崎や!」

最初から用意していた設定なのか素直に答えてくれたのですぐさまボケる。

「あー、東北の?」
「あ?それは宮城やろ!」

振り込め詐欺(仮定)からツッコミキターーー!!
大興奮。

訛ってるから余計面白い!

続いては「100万円は利子とかついてないんですか?」
「今日振り込まんと利子も発生するんや!」
「という事は今日払えば宮崎だけに“そのまんま”100万円ですね?」

強引だが“そのまんま東”のイントネーションで笑いを誘うが…

「ゴタゴタ言うとらんと,はよ振り込め!」

振り込め詐欺(仮定)にスベったーーー!!

そんなやりとりを繰り返し、猛烈にキレる振り込め詐欺(仮定)。

「じゃー、母から電話させますね。」
「オマエ,えー加減せんと家に乗り込むぞ!」
「ホンマですか?是非!お待ちしております。お寿司かピザどっちがいいですか?」

悪ふざけが過ぎたのかここで電話が突然切れる。
少しドキドキしつつも、凄い体験に興奮。

それから待てど暮らせど電話はもちろん、家には誰も来ません。
お寿司とピザどっちがいいんですか?
このコラムを読まれたら連絡ください。
ビデオカメラを用意して待ってます…。
早く来てください。コラムのオチが無くって困ってます。
100万円振り込むのでオチを買わせてください…。
(新聞の見出しはオチオチ詐欺)

87杯目「パウダーの夜」

こないだニュース見てたらバファリン製造工場が爆発したんだってね。
優しさも半径数㎞に渡り飛び散ったら怖いね。ハハハ。
痛快つかみネタから始まりました大人気コラム!
半分は優しさで出来ている松原ですが先日出張に出かけた時の事です。
ホテルを探しキャリーバックを転がしながら東京の夜を歩いていると呼び込みのお兄ちゃんが突然、声をかけてきた。
警戒心全開で振り向くと「どこから旅行ですか?」兄ちゃんsay。
「いや、神戸から出張で…」答え終わる前に
「ええ!神戸なんですか!ボクも神戸に住んでたんですよ!うわー!うれしいな~!」
興奮した兄ちゃんが松原に飛びついてきた。

神戸という言葉に嬉しくなる。

「どこに住んでたんですか?」
「えっと、なんだっけ?海から近いところ…えっと…」
「神戸駅?」
「そう!!神戸駅の周辺に住んでたんですよ!」
「へー!ぼくも近いですよ」

ますます親近感が湧く。

「神戸はきれいで好きなんです~」
神戸好きに悪い奴はいない!
「そうですよね~!でもなんで東京に?」
「いや、仕事を探して東京に来てマッサージの呼び込みをしてるんですが今日、全くお客さんが来てくれなくてクビになりそうなんです。。」

それは可愛そうである。

「どんなマッサージ?」

「これが新しいマッサージでうんだらこうたら…」
「へー。いくら?」
「3000円です!」
「意外と安いね。じゃ~行こうかな。。」
「まじですか!ありがとうございます!ホント神戸の人は優しくて大好きです!」

人助けだと思い流れでマッサージへ。
案内されたビルのエレベーターの中で3000円を兄ちゃんに渡し、至極の表情で感謝される。
そして4Fで降りると無茶苦茶怪しい暗い部屋が目の前に広がる。
そこはカーテンで仕切られたベットが4つぐらい並ぶ空間。

「え?ここ?」

不安に駆られて兄ちゃんに聞くとどうぞ中へとベットに案内され
「ごゆっくり」と言葉を落として戻って行った。

すぐさまオバサンがやってきた。

「じゃーこのパンツに着替えて服は全部脱いでこの籠に入れてください。」say。

えええ!なんで訳わからん青いブリーフを履かなあかんの!?まじで?

「な、なんでですか、コレ?」

抗議に似たテンションで訴えようと顔をあげるともうカーテンは閉まっていてオバサンの姿は見えない。

「まじでか…」

憂鬱になりながら裸に青いブリーフを履いてオバサンを待つ事に。。
ものの数分でオバハンがやってきて松原を寝転ぶように指示する。
横たわり恐怖で震えそうな体を意識的に固定し、緊張のままうつ伏せになるとオバサンが桶に入った白い粉を松原の全身に塗りだしてきた。。

「ちょ!!な、なにしてるんですか!?」

熱湯をかけられたお笑い芸人バリに飛び起きてババアに問う!

「え?パウダーですよ。」

なんや、パウダーか~

…ってなるかーアホ!
だから何のパウダーやねん!
この謎な空間への恐怖がこのパウダーで爆発してしまい一刻も早く脱出したくなる。

するとババアは「6000円のパウダーになります。」say。

ちょっと待てゴラァ!さっき兄ちゃんに3000円払ったわ!

「え?どの兄ちゃん?」
「呼び込みの兄ちゃんや!」
「あー。あの人はうちの店と関係ないよ」

キャーーー||||||||||||||(* ̄ロ ̄)||||||||||||||||

ま、まさか!だ、騙された!?

「とにかく6000円払ってくれないと服返さないよ」

うわああああ!まじで最悪の状況である。
信じた兄ちゃんに裏切られ、訳わからんババアに粉まみれにされた上に青いブリーフの男が今、お金をボラれている。
人間の想像力は無限大と誰かが言っていたが、この状況を想像出来る人間が一体世界に何人いるだろうか?

「とにかく服を返せ!」

ブチギレた松原が怒鳴りつけると、ババアが壁についているボタンを押そうとした。
ちょ!!イヤイヤイヤイヤ!!!
は、払う!払う!でも何?そのボタン。こわ。。
泣きながら6000円で自分の服を取り返し、慌ててこの空間から脱出する。

エレベーターから降りたった瞬間、さっきの兄ちゃんが100mぐらい離れた所からこっちに気づき走って逃げ出す。

「グラァァァァ!!」

叫びながら兄ちゃんを追いかける。
逃げる兄ちゃん。
追いかける松原。
走る兄ちゃん。
パウダーでカサカサする松原。
見えなくなる兄ちゃん。
服の間から白い粉を撒きながら失速する松原。
もう何も考える気力を失い、ホテルに泊まるお金も無くなり、
大衆サウナに泊まる事にする。
どうにか気分を変えたくて風呂に入ろうとすると脱衣所で4,5人組の若い男達が松原を見て笑い出す!

「ゴアー!何見とんねん!」

もう頭に来て怒鳴りつける。
すぐに我に返り周囲を見渡すと上半身が真っ白な男が鏡に映っていた。
9000円の白い粉を泣きながらシャワーで流すと“優しさ”も一緒に流れ落ちた。
モウダレモシンジナイ…。

86杯目「隣人」

月末のクソ忙しい時に限ってATMを20分くらい使ってるババァってなんなの?
俺が知らないだけでYouTubeとかみれんの?

ほんとに迷惑なババアが世の中に溢れている訳ですが、
数年前に松原が今の家に引っ越ししたすぐの事。

仕事が急遽キャンセルになり、お昼過ぎに家に帰る事となった。
その日は日曜日なので家では子供が留守番をしている。
急遽訪れたお休みで驚かせようと思い、連絡せずに玄関のドアを開けてリビングに入ると…

全く見た事の無い婆さんがご飯を食べているでは無いか!

驚きの余り声を出して驚く!

「うわっ!な、なにしてはるんすか?」

不審を服にして来ている様な婆さんは振り返り「どうも。」と優しく微笑んでくる。

ちょwwどーゆーこと??
するとソファーに座っている松原ベイベーが「あ、パパ!おかえり!!仕事は??」と微笑んでくる。

この2種類の微笑みは漢字は一緒でも全く種類の異なる笑みであり、困惑を隠せない松原は見失った答えを宙に探す。

「い、いや。急にお休みになってん。」
「やったー!じゃー遊ぼー!」
「う、うん。…で。その前にこの人…だれ?」
「友達!」

あー、なんや!友達なんか!ビックリした~… 

…って待て待てぇ!と、友達!?ウソつけ~!!

「友達ってそんな訳ないやろ!どーゆーことやねん!」

ようやく声に変わった怒りで子供に詰め寄る。

「さっき友達になってんな~?」
「そうなのよね。友達だもんね~」

肩が壊れるのを覚悟で全力で放ったボールをトスバッティングで軽々と打ち返した来た様にババアと子供がサラっと言い放つ。

いやいや、ちょっと待ってくれよ。
友達って年齢関係無いとか言うけど、こんな年齢差ある?
っていうかその前になんで勝手にメシ食ってるん?
俺んちやで!

「あなた、友達ってオカしくないですか?まだ7歳ですよ。この子。んでなに食べてるんですか?」

もう血が上った松原は戦闘態勢完了。
怒涛の質問の応酬!
するとババアは
「はぁ、翔ちゃんとはさっきお友達になったの。」

「え?今日初めて会ったんですか?」

「そうよ。」

「友達っておかしいでしょ!」

「こんな老いぼれと仲良くなってくれてほんとにいい子なの。」

「はぁ…でもなんで勝手に家に入ってるんですか?」

「ご飯をご馳走してくれるっていうから…」

「だから何食べてるんですか?」

「焼き魚よ。」

「ちゃうちゃう!その魚どーしたんやって聞いとんねん!

」「焼かせてもらいましたよ。」

「だから!!あああああああ!勝手に食べてるんおかしいでしょ?うちの冷蔵庫から出したんでしょ?」

「いや、翔ちゃんが食べていいよっていうから。」

「もー、いいです。とにかく出て行ってください。」

「そんなこと言わないで…わたしは身内のおらんくて一人暮らしで…そんなわたしに優しくしてくれる翔ちゃんともっとお話しをしたいだけなの」

じゃーせめてメシ食ってから来いよぉ!とは言えず段々可哀そうに見えてくるから不思議である。
ちょっとキツくいい過ぎたかな?と反省してしまうぐらい自分の心に変化が生まれる。

でも…やっぱりアヤシイ!!

「ま~、わかりましたからそれ食べて出て行って頂けますか?この後、子供と出かけますので。」
無言で俯く婆さん。

「やった!どっかいく?」
子供の最大の武器である“空気、読まない”を使いながら問いかけてくる我が息子。

「そうだよ。だから出かける準備して。」
「うん。おばあちゃんがご飯終わるの待ってから?」
「そ、そうだね。」
「じゃ~おばあちゃん早く食べて!終わってからパパと一緒にどっか行こ~」

って待て待て待てー!!

無邪気な笑顔の息子に突っ込むよりも早く、
「うれしいな~どこいこうか?」ババアsay 

ゴラァァ!!!!いかん!いかんでー!3人でどっか行かんでー!絶対行かんでー!
ホンマ何考えとんねん。

「と、とにかく一緒にはいきませんから帰ってください!」

「はぁ…わかったから翔ちゃんには怒らないでやってね。やさしい子やから。」

ってなんで訳わからんババアに自分の息子をプレゼンされなあかんねん!知っとるわボケ!
そしてようやく追い出す事に成功し、
「知らない人を絶対に家に入れたらアカンで!誘拐されるかもしれへんねんで!」
とキツく息子に注意をし二度と無い様に散々怖がらせる。
しかし本当に恐ろしい事である。

そして翌日、「誘拐される!!入ってくるな!」と、玄関から近所に丸聞こえの大声で宅急便のおじさんを追い返す息子の叫び声で目覚める。
近所から白い眼で見られつつリビングに戻ると息子曰く“昨日から知ってる”ババアが今日はお茶を飲んでいた。
そのまた数日後、今度は別の子供とババアが歩いている姿を目撃…。
一刻も早く引っ越すべきだろうか…

85杯目「幻のボツネタ」

【こんなスターウォーズは嫌だ!!ベスト3】
3位 敵のレーザーがビシビシ命中
2位 最後にNG集
1位 監督・脚本:三谷幸喜

は~い!今回も始まりました松原コラム。
知る人は知ってると思いますが先日松原 裕ワンマンライブを行った訳で一人でピンネタを3つ書き上げた訳です。
もうピン芸人を尊敬しまくれる機会を貰った訳で当日リハーサルで3つのピンネタをスタッフの前でやった所、
「絶対これ伝わらないしシュールすぎるから辞めた方がいいよ!」って言われたネタがあります。

実際本番でもやらなかったのですが勿体無いので今日はそのお蔵入りのネタを短縮編で披露させて頂きます。

飽きたら途中で破いてね。
それではどうぞ~!

松原「よし!今日は人生カスタマーセンターの初出勤日だ!色々な人生の問合せに頑張って答えていくぞ!」
トルゥルゥルゥ~!おっ!早速電話がなったぞ!
ガチャ。

「はい、オハヨウからオヤスミまで貴方の人生を見つめる人生カスタマーセンターです。どういったお問合せでしょうか?」

電話の相手(録音して声を再生)「じ…実は長年、会社5.0を愛用していたのですが突然画面に「解雇」が表示され、人生画面がブラックになり強制終了してしまいました。
家族2.5へこのプログラムを読み込ませるのが怖くて…今、ビルから飛び降りて人生をクラッシュさせようと思っているのですが…」

「お、お客様!早まらないでください。まずは一度暖かいお風呂41.0に入り、頭の電源を落として一度冷めさせてからもう一度電源を入れてみてください。きっと新しいプログラムが起動するはずです!」

「…そうですか。一度試してみます。ありがとう。」
ガチャ。

ふぅ~。いきなり重い問い合わせだったな。
おっ!早速2件目の電話だ!出てみよう。ガチャ。

「すみません。人生ソフトのことで尋ねたいんだけど…」
「はい!どうされましたか?」
「実は昨年、ガールフレンド7.0からワイフ1.0にアップグレードしたところ、思いがけない症状が起こり、困ってるんです。」
「どういった症状でしょうか?」
「ワイフ1.0にアップグレードして間もなく、チャイルドという名前のプログラムがいくつもでき、容量をすごくとるので、
お金をつぎこんで環境を変えざるを得なくなりました。さらにワイフ1.0は、他のプログラムに勝手に自分をインストールし、全プログラムの監視をしてるんです…」

「それは困りましたね。たとえば?」

「ゴルフ3.1や飲み会5.0といったアプリケーションは、動きが悪くなっています。キャバクラ6.2に至っては、全く動きません。選択するだけでクラッシュします。」
「なるほど。」
「なのでもうワイフ1.0をガールフレンド7.0に戻したいんですが、このワイフ1.0のアンインストールがうまくできないんです。
強引にアンインストールしようとすると、人生システム全体を巻き込んでしまいそうです。どうしたらアンインストールできるんですか?」

「そうですね…、実際こういったワイフ1.0に関するトラブルケースは頻繁にあり、同様のご質問をよくいただきます。たいていの場合、原因は大きな誤解にあります。
まずガールフレンド7.0からワイフ1.0にアップグレードするとき、
単なるユーティリティソフトと考えて何となくアップグレードする方が多くいらっしゃいます。
しかし、ワイフ1.0はユーティリティではなく、OSです。ガールフレンド7.0とは根本的に異なると考えて頂ければ解り易いかと思います。」

「はぁ…で?どうすれば?」

「ここで無理に、ワイフ2.0やガールフレンド8.0をインストールするようなことがあれば、問題が一層大きくなり、回復不可能になります。
このあたりのことは、トラブルシューティングファイル「養育費」「財産分与」に詳しく書かれていますのでご一読ください。
なのでワイフ1.0はそのままさわらずに、周りの環境をワイフ1.0に合わせていくべきです。何度もクラッシュしたり、
他のプログラムへの影響が大きいときは、 C:\gomen_ne と土下座をしながら打ち込んでみてください。
もしそれで何の効果も出ない様であれば修復は不可能になりますので今回の人生は諦めて次の人生でインストールをしっかり考えてご対応ください。」

「なるほど…わかりました。ありがとうございます。」

「お役に立てましたでしょうか?また人生に悩まれましたらいつでもお問合せください。御利用ありがとうございました。」
ガチャ。

暗転(ナレーション:当センターは皆様のご契約人生の相談・変更など24時間で受付けております。是非お気軽にお問合せください)

は~い。1箇所ぐらいクスっとしただけだったね。
本コラム85話中、もっとも微妙なお話しでしたね。

それでは懲りずにまた来月!

*このコラムへのお問合せはお受け致しません。

84杯目「ツッコミ症候群」

先日、駅のトイレで用を足そうとしていると完全に酔っぱらったオッサンが隣りに来て、

チャックを開けてゴソゴソしながら

「アレェ!?ねぇぞォ?」

 

『…って、そんな訳あるか、アホ!
よく探してみろ!!!!!!!』

 

は~い。今日も始まりました社会の相方・ツッコミ担当松原の痛快コラムな訳ですが、
商業病なのか日常で起こる様々な事にツッコミを入れてしまう癖がございます。
ホントに怖いですが一種の病気の様なもので治せないのです。

という事で今回は最近身の回りでツッコんでしまった出来事をバババっとご紹介いたしましょう~!

【コンビニにて】
真夜中の打ち上げ帰りに家の近くのコンビニでお弁当を買ったら新人の女の子の店員が明らかに眠たそうにしながら
「あたためますな?」
と松原に問いてきた。
多分眠気で言い間違えたんだと思うけど関西人の血が騒ぎ、
「さようでござる。」
と回答してあげた。

 

『ってオマエは何時代の奴やね~ん!』
…しまった。コンビニ店員にツッコんでしまった…

 

【マクドナルドにて】
ツアー先で待ち時間がありネット環境の整ったマックで休憩していたら隣りの席の大学生男二人の会話が聞こえてきた。
大学生A「あれ、『まさき』ってさぁ、どういう字書くんだっけ?」
大学生B まさき「んぁ、俺ぇ?えっとね、田村正和の『正』に、樹木希林の『き』」
思わず隣りの席に向かって

 

『ってオマエ、樹木希林の『き』ってどの『き』やね~ん!』

 

…しまった。知らない学生にツッコんでしまった…

 
【不動産屋のチラシ】
新聞折り込みの不動産屋のチラシを見るのが大好きな松原ですが、
先日すごい間違いのチラシを発見した。
中古一軒屋○○万円・築五分・駅から五年。

 

『ってオマエ、どこの国の駅から歩かせるね~ん!』

 

…しまった。新聞折り込みにツッコんでしまった…

 

【母のメール】
母と待ち合わせして外食をする事になった。
しかし待ち合わせの時間になっても母は来ない。
イラちの松原はすぐ母に「後、何分で着く?」とメールをすると
母から「あと5分位どつくよ」と返信。

 

『ってオマエ、どんだけドツくね~んっ!』
…しまった。駅前で携帯にツッコんでしまった…

【息子】
なかなか休みの無いシングルファザーの松原は息子とコミュニケーション不足。
少し心配になり「パパとおばあちゃんどっちが好き?」とドキドキの質問をした。
するとチビ松原はお饅頭を食べようとしていたのだが少し考えてから
お饅頭を2つに割って「どっちが美味しい?」って聞いてきた!

 

『って、オマエは一休さんか~いっ!トンチすな!』
…しまった。自分の息子にツッコんでしまった…

 

【本屋さん】
何かオモシロい小説が無いか本屋さんに入ったらヨボヨボのお爺さんが
“ボケ対策の本“を2冊持ってレジに並んでいたよ。

 

『ってオマエ、もうボケとんか~い!』
…しまった。ヨボヨボのお爺さんにツッコんでしまった…

 

【居酒屋のトイレにて】
出張先で1人でご飯屋を探していたら急にトイレに行きたくなった。
すると目の前に個人でやられているちょっと小奇麗な居酒屋があったので慌てて入ってみた。
すると誰もいなくて「どこか買い物にでも行ってるのかな?」と思い、
とにかくトイレに行きたかったのでトイレに駆け込むとドアノブが回らない。
あれ?と思い、ノックをしてみると男の声で

 

「あ!は、はい!どうぞ~!」

『ってなんでオマエと一緒にトイレ入らなあかんね~んっ!その前にオマエ誰やね~んっ!』
…しまった。店の大将にツッコんでしまった…

【松屋にて】
松屋でご飯を食べてるとトンでもなく太った人が入ってきた。
とにかく凄いのでそのデブを見ていると食券を買って
松原の向かいのカウンター席に座った。
カウンターの中を駆け寄ってきた店員の背中が松原の目の前に広がり、
クルっと厨房に振り向いて叫んだ。
「ブタ一丁ぉ!!」

『ってオマエ、それ絶対ワザとや~ん!ブタ生姜焼き定食って面倒やけど言うたれや~!』
…しまった。松屋の店員にツッコんでしまった…

【高速道路】
アーティストの車でツアーを同行していたら横の車線を走っていた車が割り込んできた!
ビックリして急ブレーキをかけたら、その割り込んできた車の後ろに

“急ブレーキ体験車”

って書いてあった。

 

『ってオマエ、そうやって体験させるんちゃうやろ~い!』
…しまった。時速80kmで車にツッコんでしまった…
だ、だけど突っ込まなかったよ!!!!


やった!ツッコミ病が治り、お後もよろしいようで。また来月。